宇野常寛責任編集 PLANETS 政治からサブカルチャーまで。未来へのブループリント

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  • 2021.11.25

正義を振りかざす「極端な人」から社会を守る|山口真一

今朝のメルマガは、PLANETSのインターネット番組「遅いインターネット会議」の登壇ゲストによる自著解説をお届けします。
今回は、経済学者としてネット炎上分析に携わる山口真一さんをゲストにお迎えした「正義を振りかざす『極端な人』から社会を守る」(放送日:2020年10月27日)内で紹介された、『正義を振りかざす「極端な人」の正体』について。
ネット上の過激な世論を形成する「極端な人」の正体とは何か。「インフォデミック」としてのコロナ禍を通して、情報リテラシーの向上が生活上の課題として広く共有されるようになった今、改めて「炎上」のメカニズムを統計的に分析します。
(構成:徳田要太)

正義を振りかざす「極端な人」から社会を守る|山口真一

経済学者として、ネット炎上の分析を計量経済学的に行ってきた山口真一さん。
攻撃的なネット世論を形成する「極端な人」の影響力と実際の人数、そして「極端な人」が生まれる背景を論じた『正義を振りかざす「極端な人」の正体』(光文社新書、2020)の概略について、ご本人より詳しく解説していただきます。

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山口真一
正義を振りかざす「極端な人」の正体
光文社新書/2020年9月16日発売/ソフトカバー 216頁

【目次】
はじめに
第1章 ネットに「極端な人」があふれる理由
第2章 ネットだけでない「極端な人」
第3章 「極端な人」の正体
第4章 「極端な人」が力を持つ社会でどう対処するか
第5章 「極端な人」にならないための5箇条
あとがき

最近、「社会が不寛容になった」とか、あるいは「攻撃的な人が多くてすごく怖い」というふうに思ったことはないでしょうか? 私はたまにあります。インターネットを見ると「こいつは頭おかしいだろう」とか「○○は人間の最下層だ、非国民だ」というような罵倒や誹謗中傷はあふれていて、探しに行かなくても見えるような状態です。

実際、「ネット炎上」についてデジタルクライシス総合研究所が調査した結果、2019年には炎上が約1200件発生していることがわかりました。1年間は365日ですので、だいたい1日に平均して3件以上炎上が発生していて、今日もどこかで誰かが燃えていると言えます。

もちろん「炎上」と言ってもその定義は明確に定められるものではないですが、それでも「誹謗中傷」というレベルでは、もっとはるかに多くの数が発生していると考えられます。2020年の5月には、あるリアリティ番組に出演したプロレスラーの方がネットの誹謗中傷を機に亡くなってしまったという非常に悲しい事件も起きました。

そして新型コロナウイルスの感染対策として対面での交流制限が常態化したなか、こうした社会の不寛容さがさらに加速するのではないかということが指摘されています。例えばある駄菓子屋に「子供集めるな、お店閉めろ、マスクの無駄」とマーカー文字で書かれた怪文書が店頭に貼られるような事例が発生していました。その駄菓子屋はたまたま営業していなかったのですが、営業をしているお店に同じような文書を送りつけたり、あるいはライブハウスなどに対して電話で抗議したり、いわゆる「自粛警察」と呼ばれる人たちの活動が取りざたされていたこともありました。

あるいは昨年、ある女性のコロナ感染者が感染を疑われているにも関わらず遠出をして、感染が明らかになった後も大勢が集まる場所に行っていたということが自治体の発表で詳細に明らかにされ、さらにそれをマスメディアがこぞって取り上げるといった山梨県での騒動が起こりました。その結果、メディアの発信だけを情報源に彼女に対する誹謗中傷をネット上に書き込んだり、あるいは個人情報を特定する動きが活発になったりといったことが大量に発生しました。

そういったことを象徴するように、ネット炎上件数をカウントすると2020年4月時点での炎上件数は、前年同月比でなんと3.4倍に増えているということがわかりました。それくらいコロナ禍で炎上というものが頻発していると言えます。

攻撃的な投稿を行う「極端な人」

このように様々な誹謗中傷やネット炎上が頻発するようになったわけですが、その影響を考えると、例えばネット炎上によって実際に進学や結婚が取り消しになった人もいます。あるいはネットでの発言に傷ついて引きこもるようになった人や活動自粛に追い込まれた芸能人、中には倒産してしまった企業などもあります。

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