宇野常寛責任編集 PLANETS 政治からサブカルチャーまで。未来へのブループリント

Serial

  • 2022.07.08
  • 加藤るみ

『セイント・フランシス』──女性の心身の本音|加藤るみ

今朝のメルマガは、加藤るみさんの「映画館(シアター)の女神 3rd Stage」、第30回をお届けします。
SXSW (サウス・バイ・サウスウエスト)フィルムフェスティバル受賞歴を持つ『セイント・フランシス』。中絶や子育てといった女性にとって生々しい現実を扱った本作に、るみさんは何を思うのでしょうか?

加藤るみの映画館(シアター)の女神 3rd Stage
第30回 『セイント・フランシス』── 女性の心身の本音|加藤るみ

おはようございます。加藤るみです。

ちょっと、この話は映画好きとして話さずにいられないと思ったので話させてください。

結論から言うと、『トップガン マーヴェリック』が最高だった件。

『トップガン』は1986年に公開され、全世界が熱狂したアクション超大作ですが、中学生の頃トム目当てで観たものの、わたしの中ではメグ・ライアンの可愛さと火の玉ロック(笑)くらいしか印象に残ってないみたいな……、氷が溶けたカルピスの終盤並みにうっすーい記憶が蘇る映画なんですね。
正直好きかと聞かれたら「別に……」と、沢尻エリカ様ばりの答え方をすると思います。
それに、リアルタイムでその盛り上がりを感じられなかった世代でもあり、特に戦闘機が好きでもなければ、男の友情に胸騒ぎが起きることもなかったわたしは続編と聞いて「楽しめるかなあ」というぼんやりとした不安を抱えて映画館へ行ったんです。

な・の・に!!!

わたし、今年イチの涙を流してしまいました……。

多分、映画館で一番泣いてました。
自分でも「まさかこんなに泣けるとは……」と、引いたくらいです。

何が泣けたって、一番はトム・クルーズの姿でした。

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役者の演技にこれだけ圧倒されて泣いたのは初めてでしたね。
ハリウッドの第一線で活躍し続け、前作から36年経った今も、一人だけ異次元な若さをキープし、完璧なアクションを見せつけてくれた男トム・クルーズに勇気をもらわないわけがない。
旧世代であるマーヴェリックと新世代のルースターの交流は、『ドラゴンボール』で言うピッコロと悟飯のようなアツすぎる師弟関係で、泣けないわけがないんですよ。

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そんなん、100%泣くわ。
それに、エンターテイメントとしてのアップデートが見事でした。
ノスタルジックな80’sの良さを残し、ちゃんとした80’sムービーなのに、戦闘シーンでの臨場感やリアリティーは体験型アトラクションの最高峰とも言える迫力できちんとアップデートされている。
もう、手には汗、目には涙でしたね。

そして、現時点で興行収入が60億円を突破という、コロナ禍以降の映画業界の不況のなかで凄まじい記録を更新しています。
2020年以降日本公開の実写映画No.1になり、確実に歴史を刻んだ作品になったでしょう。
大ヒット上映中で、この調子だと夏休み中はまだまだスクリーンで楽しめそうな予感がしています。

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まだ未見の方は、ぜひ、映画館へ観に行ってもらいたいです。
前作を観なくても十分楽しめるのが今作の良さだと思ってます。
本当に最高でした。

さて、今回紹介する作品は、『セイント・フランシス』です。

2019年にアメリカで開催された、音楽・映画・テックの祭典SXSW (サウス・バイ・サウスウエスト)フィルムフェスティバルにて観客賞と審査員特別賞を受賞。
SXSWは、小粒ながらも出来の良いインディペンデント作品が多数出品されていて、わたし的には正直アカデミー賞より楽しみにしている映画の祭典かもしれません。
まだ世にはそれほど出ていないけど、実力を持ったクリエイターたちの作品が集まる映画祭で、”野心作の試験場”とも呼ばれています。
以前コラムでも紹介したことがある、ティーンエイジャーをケアする短期保護施設を舞台にした傑作ヒューマンドラマ『ショート・ターム』(’13)や、ダウン症の少年と一癖ある漁師の冒険を描いた『ザ・ピーナッツバターファルコン』(’19)もSXSWで観客賞を受賞している作品で、特に『ショート・ターム』で名を馳せたデスティン・ダニエル・クレットン監督は、その後『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(’21)の監督としてMCUに抜擢されるなど大活躍(『シャン・チー』の続編も正式決定されてます)。
デスティン・ダニエル・クレットン監督がMCUに青田買いされたように、これからの注目株クリエイターが見つかるかもしれないですね。

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