宇野常寛責任編集 PLANETS 政治からサブカルチャーまで。未来へのブループリント

Serial

  • 2020.09.16

『シンプルフェイバー』| 加藤るみ

今朝のメルマガは、加藤るみさんの「映画館(シアター)の女神 3rd Stage」、第8回をお届けします。
今回ご紹介するのは、1人の女性の失踪をきっかけに明らかになっていく女同士の秘密を描いたサスペンス『シンプルフェイバー』。
「これは誰にも言わないでね」とラフに打ち明けられる、薄っぺらくも心をざわつかせる「秘密」の恐ろしさを描いた本作の魅力を語り倒します。

加藤るみの映画館(シアター)の女神 3rd Stage
第8回『シンプルフェイバー』

おはようございます、加藤るみです。

8月も終わり、もう9月半ば。
今年もあっという間にあと残り約3ヶ月になってしまいました。

先月は『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』について書きましたが、かなり好調らしく……!
沢山のミニシアターで満席が続出し、公開劇場の拡大まで決定という、このコロナ禍では異例のヒットを飛ばしています。
公開前から自信を持って「コレは良い!」と、イチオシしていた作品なので、心の中でドヤ顔をしています。

評判を検索してみたところ、毛色のまったく異なる作品ですが、去年アカデミー賞を受賞した『パラサイト』と同じような現象が起きているようで、TwitterやInstagramなどSNSでの盛り上がりに比例して、あまり映画に興味がない層にもジワジワと届いているようです……(映画ヲタの私はこれが一番嬉しい!)。

『パラサイト』はネタバレ厳禁というメッセージと、なんと言ってもアカデミー賞という最高の宣伝ワードがありましたが、「なんか流行ってるから観に行こう」と映画館に脚を運ぶミーハー層が、いまの映画界にとってめちゃくちゃ大事な存在だと私は思っていて、そう思わせることが、これからの映画マーケティングに必要なことかもしれないと『パラサイト』『ブックスマート』の一連の流れで痛感しました。
今年の作品では、『ミッドサマー』もミーハー層を上手く取り込めていた印象があります。

もちろん作品が面白く、魅力的であることは大前提ですが、一連の動きを見ていると、作品をどう届けるかが大事なのだと考えさせられます。

……と、いち映画ファンの戯言をつらつら書いたところで……(これについては語り出すと止まらない)。

今回はNetflixで見つけた掘り出し物を紹介します。
久々に「こんな傑作を見逃していたとは!」と、劇場で観なかったことを後悔しました。
去年公開の作品ですが、リアルタイムで観ていたら確実に年間ベストに入れていたでしょう!

タイトルは、『シンプルフェイバー』(’19)です。

画像2

『シンプルフェイバー』画像出典

ダーシー・ベルのミステリー小説『ささやかな頼み』を原作に『ゴーストバスターズ』(’16)『ラストクリスマス』(’19)のポール・フェイグ監督が映画化したサスペンス作品です。
サスペンスと謳っているものの、ひねりあるコメディ要素が効いていて、テンポ良くラフに観れるスッキリ感が大好きでした。
なんといっても、女同士のバトルが見もの!
主演のアナ・ケンドリックとブレイク・ライブリーが良い意味で「混ぜるな危険!」な組み合わせで、この二人の対比がなんとも面白かったです。

夫を事故で亡くし、ニューヨーク郊外で子育てをしているシングルマザーのステファニー(アナ・ケンドリック)が、子供と同じクラスに息子を通わせるエミリー(ブレイク・ライブリー)の自宅に招かれます。
華やかなファッション業界に身を置き、小説家の夫と豪華な家に暮らしながらもどこかミステリアスなエミリーと、夫の保険金を切り崩しながら、必死に子育てをしているステファニー。
対照的なステファニーとエミリーですが、徐々にお互いの秘密を言い合えるほど意気投合するようになっていきます。
しかしある日、エミリーはステファニーに息子を学校に迎えにいってほしいと頼み、そのまま姿を消してしまうのです…。

この作品の重要キーワードは「秘密」です。

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