『ハラ』── 二つの文化の間で葛藤する少女が見つけたアイデンティティ|加藤るみ | PLANETS/第二次惑星開発委員会

宇野常寛責任編集 PLANETS 政治からサブカルチャーまで。未来へのブループリント

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  • 2021.03.18

『ハラ』── 二つの文化の間で葛藤する少女が見つけたアイデンティティ|加藤るみ

今朝のメルマガは、加藤るみさんの「映画館(シアター)の女神 3rd Stage」、第14回をお届けします。
今回紹介するのはApple TV+初の長編映画『ハラ』。イスラム教徒の家庭に住む少女ハラが、アメリカの高校の自由な校風と、厳格な家庭環境とのギャップに悩み、自身のアイデンティティを見つけていく青春映画です。
最近Apple TV+にハマっているというるみさんが、本作の魅力をサービスの特徴と併せて語りつくします。

加藤るみの映画館(シアター)の女神 3rd Stage
第14回 『ハラ』── 二つの文化の間で葛藤する少女が見つけたアイデンティティ

おはようございます、加藤るみです。

今回紹介する作品は、Apple TV+配信の作品です。
いま、Apple TV+のオリジナル作品がめちゃくちゃ熱い!
私がいま一番推したい映画のサブスクは、Apple TV+です。

映画のサブスクといっても、Netflixやアマゾンプライムのように旧作も含めて見放題というわけではなく、Apple TV+は、”オリジナル作品のみ”が見放題なんです。
しかも、今回紹介する作品もそうですが、まだあまり世の中に浸透していないであろう、掘り出し物が豊富で、トップクリエイターを招聘したオリジナル作品の質が高いことが、最大の魅力だと思います。
具体的にどんな作品があるかというと、前にこのコラムでも紹介した、ソフィア・コッポラ監督の新作『オン・ザ・ロック』(’20)をはじめ、トム・ハンクスが主演・脚本を担当し、制作に10年を投じた力作『グレイハウンド』(’20)や、サンダンス映画祭グランプリを受賞したA24との共作ドキュメンタリー『ボーイズ・ステイト』(’20)、カートゥーン・サルーンが手掛けたアニメーション『ウルフウォーカー』(’20)など、傑作揃い。
映画だけじゃなくドラマにも力が入っていて、M・ナイト・シャマラン、ダニエル・サックハイムらが監督を務めたホラーサスペンス『サーヴァント ターナー家の子守』(’19)や、『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』(’17)のクメイル・ナンジアニが製作に携わり、移民の人々の暮らしを描いたヒューマンドラマ『リトル・アメリカ』(’20)など、満足度高めのラインナップが揃っています。特に『リトル・アメリカ』は私のイチオシです。実話をベースに製作されていて、すべてが心温まる物語ばかり。しかも、 1話完結の30分ドラマなのでサクッと観れます。私は1話でグッと心を掴まれ、気づいたら一日で全話観終わっていました。まずは、1話。最高なので、ぜひ観てもらいたいです。
Apple TV+は、 Netflixやアマゾンプライムとは少し方向性が違って、独自性が高く、良質なものだけをチョイスして観ることができる、いわば、映画好きのためのセレクトショップ的な位置付けにあるんですね。
まさに、”Apple TV+でしか観られない”がウリです。
私はもちろんNetflixも大好きなんですが、サービスが大規模になり、オリジナル作品が途方もなく増え始めた頃から、単純にその莫大な数の作品の中から、あれもコレもと選ぶだけで時間がかかってしまうのが悩みになっていたんですよね。
マイリストだけがめちゃくちゃ増えていくみたいな。
Apple TV+も今後どうなっていくかはわからないですが、まずはいま、この情報過多の時代でサブスク迷子にある方は、ぜひApple TV+に入ることをオススメします。

では、先ほど触れた通り、今回はApple TV+配信作品の中から私のイチオシを紹介したいと思います。

タイトルは、『ハラ』です。

最近発見したんですが、こんな素晴らしい作品がApple TV+に隠れていたなんて……。
2019年1月26日に配信がスタートされたこの作品が、実はApple TV+初の長編映画作品なんです。
不覚にも、「2021年になるまで気づかなかったとは……」と、早く見つけられなかったことが悔しくなるほど、良い作品でした。

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