宇野常寛責任編集 PLANETS 政治からサブカルチャーまで。未来へのブループリント

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  • 2019.05.27

宇野常寛 NewsX vol.31 ゲスト:石破茂「こんな日本をつくりたい2019」【毎週月曜配信】

宇野常寛が火曜日のキャスターを担当する番組「NewsX」(dTVチャンネルにて放送中)の書き起こしをお届けします。4月16日に放送されたvol.31のテーマは「こんな日本をつくりたい2019」。自民党衆議院議員の石破茂さんをゲストに迎えて、2012年刊行の宇野との共著『こんな日本をつくりたい』からの7年で、日本はどのように変わったのか、あるいは変わらなかったのかを、平成の政治の総括を交えつつお話を伺いました。(構成:籔和馬)

NewsX vol.31 「こんな日本をつくりたい2019」
2019年4月16日放送
ゲスト:石破茂(自民党衆議院議員)
アシスタント:得能絵理子

宇野常寛の担当する「NewsX」火曜日は毎週22:00より、dTVチャンネルで生放送中です。
番組公式ページ
dTVチャンネルで視聴するための詳細はこちら。 なお、弊社オンラインサロン「PLANETS CLUB」では、放送後1週間後にアーカイブ動画を会員限定でアップしています。


昭和の敗戦と、来るべき2020年東京五輪の関係

得能 NewsX火曜日、今日のゲストは自民党衆議院議員、元地方創生担当大臣の石破茂さんです。石破さんと宇野さんは7年前に共著『こんな日本をつくりたい』で対談をされていますが、会うのは久しぶりなんですか?

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▲『こんな日本をつくりたい

宇野 TOKYO MXの番組「激論!サンデーCROSS」で、何ヶ月か前に共演していますよね。総裁選のちょっと前ぐらいですかね。

石破 そうね。ただ宇野さんがいろんなところで活躍しているのは常に知っているから、そんな久しぶりという感じはないんだよね。(前のコーナー「impulse buy」で、宇野さんが紹介した『アルキメデスの大戦』を手に取って)これは面白いね。

宇野 石破さんに読んでほしくてですね。

得能 今日はあえて狙って持ってきたところがあるんじゃないでしょうか。

石破 大和をつくって、武蔵を作って、3番艦(信濃)は航空母艦になったからね。それで試験航海中に沈んじゃったからね。死なないと言ってね。

宇野 人間って合理性だけでは動かないんだなということを思い知らされる漫画なんですよね。

石破 でも、善かれ悪しかれ、大和って日本国そのものじゃないですか。大和について知ることは、日本とはなんなのかを考えることに直結すると私は思っているんですけどね。

宇野 否応なく大和に惹かれてしまう日本の国民性を、鼻で笑うんじゃなくて、直視するしかないと思うんですよね。

石破 それはそうだと思う。昭和20年4月、大和が鹿児島沖で沈んだんだよね。飛行機だけではなくて、戦艦が特攻で突っ込む。桜満開の呉を出航していくんです。戦果は何も得られないことを分かった上で、突っ込んでいく。それは日本しかしない発想。ある意味、日本というのは、そういう国。そうやって美学に酔いしれるところがある。それで失われるものって何なんだろうね。大和の生き残りの吉田満の『戦艦大和』という本があるでしょ。「何のために俺たちは行くんだ」という議論が士官達の中であった。「一回日本は滅びる。それでいいじゃないか」「そこから新しい日本が生まれるんだ。俺たちはその先駆けになるんだ」ってね。さて、そういう日本になったかな。

宇野 このままだと、2020年の東京オリンピックは「小さい大和」になると思うんです。誘致したときは、国民が湧いたかもしれないけど、いざ実行していく段になると、なんのグランドデザインもない。国家百年の大計もない。それで予算の押しつけ合いを自治体同士でやっている。東北の復興五輪もお題目だけで、みんな忘れてしまっている。まさに第二の敗戦としての2020年になりかねないと思うんですよ。

石破 そうならないようにするのが我々の仕事であってね。昭和39年に東京オリンピックをやり、45年に大阪万博をやり、47年に札幌で冬季オリンピックをやったんですよね。今度も東京オリンピックをやって、大阪・関西万博と、いろんなイベントを打つことになりました。そのこと自体を否定はしないが、東京でオリンピック、大阪で万博。首都一極集中をどう是正し、人々がどのようにそれを考えるのか。そういう視点が私は必要だと思っているんですけどね。

宇野 オリンピックの誘致が決まったときに、この国は東北のことを一回忘れることを選んだんだと僕は思ったんですね。どれだけ復興五輪だと旗を振っても、実際に建築資材も人員も東京に集まって被災地は割りを食った。

石破 それを批判すると「国民を挙げての行事にお前は反対するのか」みたいな話になるでしょ。私もそう批判されることが多い。だけど批判を一切認めない社会は、どういう社会なんだろうね、と思うんですね。
太平洋戦争をはじめるときも、猪瀬さんの『昭和16年夏の敗戦』にあるように「こんな戦争は絶対にやってはダメだ」「なにをやっても絶対に勝てない」というシミュレーションの結果は、昭和16年の夏に出ていたんです。だけどそれは公にされなかったし、政府に聞き入れられることもなかった。批判や反対を許さないと、そのときはいいかもしれないけれど、結局、不幸になっていくのは国民全体ではないですか。昭和16年の夏に日本の叡智、官庁、陸軍、海軍、同盟通信、日本銀行などから、30代の最も出来る人間を集めて、シミュレーションをやった。それで、絶対にこの戦争は勝てないという結論が出たのに、それは封殺された。そして日本は決定的な敗戦を迎え、国土は灰燼に帰した。そのときの政治にとっていいこと、国民の気分が高揚することでも、その結果、待っているものはなんなんだろうと考えなきゃいけない。

宇野 70年前とまったく同じ轍を今、この国はゆるやかに歩もうとしているようにしか僕には見えないんですよ。今年は陛下が退位されるということで、時代が移り変わるタイミングなんです。石破さんと僕の共著『こんな日本をつくりたい』は、ちょうど東日本大震災が起きてから、東京オリンピックが決まるまでの間に出した本なんですよね。あれから7年、この国の状況は大きく変わりました。7年のブランクも含めて、この国のこれからのあり方を今日は考えていこうかなと思っています。

失われた30年の反省から学べること

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