宇野常寛責任編集 PLANETS 政治からサブカルチャーまで。未来へのブループリント

Serial

  • 2022.06.06
  • 古市雅子,峰岸宏行

国境を超えた虚擬偶像(バーチャルアイドル)、リスクと変遷(後編・最終回)|古市雅子・峰岸宏行

北京大学助教授の古市雅子さん、中国でゲーム・アニメ関連のコンテンツビジネスに10年以上携わる峰岸宏行さんのコンビによる連載「中国オタク文化史研究」の第13回(後編)。
「虚擬偶像(バーチャルアイドル)」として中国に大旋風を巻き起こしたキズナアイ。ホロライブやにじさんじといった後続のVtuberたちも人気を博すなか、活動規模がグローバル化したゆえの問題にも直面しました。「虚擬偶像」の行く末を、「中国オタク文化」の現在地として本連載の最終章で解説します。
前編はこちら

古市雅子・峰岸宏行 中国オタク文化史研究
第13回 国境を超えた虚擬偶像(バーチャルアイドル)、リスクと変遷(後編)

キズナアイの分裂、そして世代交代

快進撃を続けていたキズナアイとhololiveがその後も中国VTuber界隈をけん引していくと思われましたが、キズナアイが2019年、突然4人に分裂します。

VTuberとは、キャラクターのガワ(外側のキャラクターの部分)と魂(演じている演者)で構成されています。これは初音ミクや洛天依とは大きく違う部分です。VTuberはVocaloidと違い、それぞれ人格を持ち合わせています。

キズナアイはガワを変えず、3つの新しい魂を入れて、4人に分裂しました。これに対してファンは当初、戸惑いを隠せませんでしたが、少しずつ受け入れようとした矢先、loveちゃん(2号)とあいぴー(3号)がオリジナルに対して貶めるような発言や配信を行い、同じタイミングでオリジナルの配信が減少し、さらにはActiv8の役員だった副島雄一氏が、同棲しているらしい中国人女性をキズナアイ4号としてデビューさせるためにキズナアイの分裂を主導した、という根も葉もない噂がまことしやかに流布し、ファンは不満を爆発させました。

ファンが爆発したこの一件によって、中国でもキズナアイのbilibiliアカウントや微博アカウントのフォローを外す動きが始まります。最終的には10万人以上がフォローを解除する事態に発展しました。

そこに登場したのがhololiveやにじさんじの搬運アカウント、そして本人のオフィシャルアカウントで、hololiveやにじさんじのクオリティの高さ、そしてキャラクターの豊富さに魅了され、キズナアイから離脱し、行き場をなくしたファンの受け皿となりました。

2021年7月1日、キズナアイはYouTubeの登録者数をhololive Englishのがうる・ぐらに抜かれ、2022年2月26日の「キズナアイ The Last Live “hello,world 2022”」をもって無期限活動休止となりました。時代の移り変わりを感じさせる出来事でしたが、大炎上の一因となった中国語を話す4号はbilibiliをプラットフォームに中国で活動を続け、炎上しながらも新たなファンを獲得し、アカウント登録者数は85万に届こうとしています。

国境を超えたがゆえに直面したチャイナ・リスク

2019年、順調にフォロワーを増やしていったhololiveですが、突如として大事件が勃発します。桐生ココと赤井はあとの「台湾発言」問題です。

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