宇野常寛責任編集 PLANETS 政治からサブカルチャーまで。未来へのブループリント

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  • 2018.10.05
  • チームラボ,宇野常寛,猪子寿之

宇野常寛 NewsX vol.1 ゲスト:猪子寿之「デジタルアートの使命」

宇野常寛が火曜日のキャスターを担当する番組「NewsX」(dTVチャンネル・ひかりTVチャンネル+にて放送中)の書き起こしをお届けします。9月4日に放送された第1回のテーマは「デジタルアートの使命」。ゲストにチームラボ代表の猪子寿之さんを迎えて、チームラボが国内外で開催している展覧会や、今後のビジョンなどについてお話を伺いました。


本記事内の情報に誤りがありました。心からお詫び申し上げますとともに、訂正して再配信いたします。今後、同様の事態が起こらないよう編集部一同、再発防止に努めてまいります。このたびは誠に申し訳ございませんでした。(2018年10月5日13時25分)


NewsX vol.1
「デジタルアートの使命」

2018年9月4日放送
ゲスト:猪子寿之(チームラボ代表)
アシスタント:加藤るみ(タレント)
アーカイブ動画はこちら

宇野常寛の担当する「NewsX」火曜日は毎週22:00より、dTVチャンネル、ひかりTVチャンネル+で生放送中です。アーカイブ動画は、「PLANETSチャンネル」「PLANETS CLUB」でも視聴できます。ご入会方法についての詳細は、以下のページをご覧ください。
PLANETSチャンネル
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境界のないアート群、「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボ ボーダレス」

加藤 NewsX火曜日、初めてのゲスト、チームラボ代表の猪子寿之さんです。よろしくお願いします。今日のテーマは「デジタルアートの使命」。猪子さん率いるチームラボ、現在も各地で様々な展示があります。その映像を観ながらお話を伺いたいと思います。まず猪子さんと宇野さん、お二人のご関係からお聞きしてもよろしいでしょうか。……なんかニヤニヤしてますね(笑)。

宇野 どう思っているの?

猪子 いやいや愛してますよ(笑)。

宇野 俺も愛してるよ。

加藤 相思相愛ということで。実はお二人はお仕事も一緒にされているんですよね?

宇野 月一でうちのメールマガジンで対談している感じで。

『猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉』過去の配信記事はこちら

猪子 なにか作品をつくったり展覧会を開いたときに、観ていただいたりしていて。あまり言葉になっていないものを、宇野さんに言葉にしてもらって。してもらった言葉を僕自身も使っているという。

宇野 二人で一つなわけ(笑)。

加藤 二人で一つ(笑)。合体していますね。

宇野 合体しているわけ。『バロム・1』的にね。

加藤 ということで、まずはこちらの映像を観ていただきたいと思います。

(映像が流れる)

加藤 東京お台場にある常設展、「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボ ボーダレス」(以下、「ボーダレス」)でした。猪子さん、こちらはどういった展覧会でしょうか?

猪子 僕は「境界のないアート群」と呼んでいるんだけど、それによってつながっている一つの世界。その中を自分の身体で彷徨いながら、探索して、いろんな発見をしていくという場所。それぞれまったく違うコンセプトのアートが、境界なく連続的につながっていたり、影響を受け合ったり、アートそのものが移動していったりっていう。ちょっと何を言っているのかわからないよね?

加藤 それがボーダレスという意味にもなっている……?

宇野 この説明でわかった?

加藤 あ、でも、わかります。いろんなものがつながっているんだなっていう。

猪子 宇野さんにちょっと説明してもらおうか。

宇野 ある作品で蝶が飛んでいたら、その蝶が別の作品に侵入していっちゃうの。ある作品で楽器隊が笛を吹いていたりしたら、それが行列になって廊下を歩いて行って、中央のでっかい部屋に行って、また別の行進や演奏をしたりする。作品同士がどんどんどんどんないまぜになっていく。どこからどこまでが、ひとつの作品なのかちょっとわからないような形になっているんだよね。

猪子 ある空間の作品があったら、その作品が空間から出て、通路を通って、ほかの空間に入っていったり。あとは、作品が他の作品とコミュニケーションをとっていて。たとえば、ある空間に入ろうとしたら、他の作品があると「今は入らないで」みたいことになって、諦めてまた違うところに行ったり。とにかく影響を受け合い続けるという。一個一個はもちろん違うコンセプトなんだけど、その作品ごとの境界が曖昧で、連続的につながっている一つの世界。その中を彷徨ってもらいたいなと思ってつくったんですね。

宇野 真っ暗な空間にいろんなインスタレーションがあって、しかもその作品がどんどん入れ替わっていくから、マジで迷うわけ。たぶんチームラボで泣きながら設営していたスタッフ以外、全員迷う。

猪子 とにかく広いんですよ。1万平米くらいあって、その中を本当に彷徨うことになる。
全作品を完全に観られる人はいないぐらいの複雑さ。作品も移動していくので。

加藤 それじゃあ、何回行っても楽しめるといった作品なんですね。宇野さんも当然行かれたんですよね?

宇野 僕は工事中の頃から見せてもらって、都合3〜4回行っているかな。ヘルメットを二人で被ってね(笑)。

加藤 工事中のところが見れるのはレアですね。

宇野 これは猪子さんがここ2〜3年やってきたことの集大成だと思うんだよね。2〜3年前から猪子さんは作品同士の境界を超えていくものを手がけているんだけど。それを最初にやったのは2017年のロンドンなんだよね。あれはブレグジットの翌年だったんだけど、それが僕はすごく大事だと思っていて。せっかく情報化やグローバル化で境界がなし崩し的になくなっていこうとしている世界に、今、もう一回線を引いてやれという人たちの声が大きくなっている。それがイギリスでいうとブレグジットだし、アメリカでいうとトランプの当選だし、日本でいうとヘイトスピーカーの台頭だよね。ああいったものに対して、猪子さんはすっごい真面目だから、もう一回「境界のない世界」の気持ちよさとか優しさというものを味わってみないか、ということをやっているんだよね。

猪子 そうですね。本来は世界には境界がなくて。たとえば、森に行くと多様な生物がいるんだけど、見た目上、どこが境界かわからないように入り組んでいて。すべての生命は連続性の上に成り立っているんだけれども、都市で生活しているとその連続性みたいなものが感じられないし、何か境界だらけで、まるで世界の境界がもともとあったかのような重い気持ちになってしまう。連続性の上に自分が成り立っていることを忘れてしまう。世界本来の境界がないような体験を都市の中でつくりたかったんですね。

宇野 現実の世界が境界だらけだからこそ、チームラボ・ワールドの中は境界のない世界を実現したいという。

加藤 それがボーダレスという言葉に込められた意味ですね。

猪子 そうですね。はい。

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