宇野常寛責任編集 PLANETS 政治からサブカルチャーまで。未来へのブループリント

Serial

  • 2015.09.02
  • J-WAVE,THE HANGOUT,YouTube,宇野常寛

月曜ナビゲーター・宇野常寛 J-WAVE「THE HANGOUT」8月24日放送書き起こし!

大好評放送中! 宇野常寛がナビゲーターをつとめるJ-WAVE「THE HANGOUT」月曜日。ほぼ惑月曜日は、前週分のラジオ書き起こしダイジェストをお届けします!


 


▲2015年8月24日の放送は、こちらから視聴いただけます!

 

■ オープニングトーク
 

宇野 時刻は午後11時30分を回りました。みなさんこんばんは、宇野常寛です。先週末にこの番組で予告をした通り、ひとり旅をしてきました。行き先は、京都府の舞鶴の少し西の方にある、日本海に面している漁村で、伊根というところです。ここは「日本で最も美しい村」といわれているんです。美しいといっても、太平洋の南の島のようなエメラルドグリーンの海とは違って、日本海特有のダークな深緑の海なんです。すごく味があるところで、江戸時代に定着した、1階が船のガレージになっていて2階が家屋というスタイルの、舟屋という建物がまだ残っているんですよ。戦後になってからも江戸時代と変わらない造りで建てているみたいで、その舟屋が湾に沿って数百軒くらい連なっているんです。時代に忘れられた街という感じがする場所で、本当に世界にここにしかない風景があるんです。

僕が大ファンのとあるアイドルの写真集でこの街の風景を見かけて、それ以来ずっと一回行ってみたいと思っていたんです。どうやって行くかというと、まずは京都駅から天橋立行きの特急に2時間くらい乗ります。山陰本線という、西に向かう列車に乗るんですが、その車窓から見える嵐山の渓谷が本当に素晴らしいんです。チラっとしか見えなくて、それもまたそそられるんですよね。保津峡のあたりなんですけれども、トロッコ列車が通っていたりして、そこもいつか行ってみたいなと思っています。ちなみに、天橋立それ自体は良くも悪くも、ど観光地ですよ。定番のお土産屋さんがあって、定番の神社っぽいものがあるだけですね。見たことのある、ザ・絵葉書といった世界です。そんな天橋立からさらに1時間に1本あるかないかのバスで移動した先にある、半島の先っちょみたいなところに伊根はあるんです。

そんな旅路で伊根湾の入り口のバス停に着いて、まずは遊覧船に乗りました。海から舟屋を眺めるツアーなんですけれども、印象に残ったのはむしろカモメでしたね。漁村というのは基本的に捨てられる魚を目当てにした鳥がたくさん集まっているんですよね。そのうえ、ここのカモメは遊覧船に乗る観光客がエサをくれることを完璧に学習しているので、大量に群がってくるんです。だから事実上、30分くらいカモメに群れられる伊根湾ツアーになっているんですよ。デッキに立って、ひたすら突撃してくるカモメをかわしていくゲームでしたね。みんなそれが楽しくて乗っているようなところもあるんですけれども、僕は突撃してくるカモメを避けつつ、iPhone 6で激写して楽しみました。

ツアーが終わってからは、ただひたすら湾に沿って歩いてみました。遊覧船は観光業界みたいなところがやっているんですけれども、それとは違う、個人の漁師さんが副業みたいな感じでやっている水上タクシーの看板がぽつぽつありました。あとは、舟屋を改装した喫茶店の看板もありましたが、あとはずっと舟屋が並んでいるだけでなにもない。そこをひたすら2時間歩いたのですが、さっぱり飽きないんです。世界のすべてが美しすぎるんですよね。そこは江戸から平成までが混在する世界なんです。建物は江戸から基本的に変わっていない。そして、住んでいる人たちのライフスタイルは昭和40年代くらいからあまり変わっていない感じがするんですよね。江戸時代と、第二の江戸といわれている戦後社会とのハイブリッドで、そんなふたつの時間が止まった世界がそこには混在しているんです。そんな風景を、僕は21世紀のテクノロジーの結晶であるところのiPhone 6でバシャバシャ撮りながら歩いているんです。けっこう不思議な感覚でした。

途中の休憩所で、二人組の女子と知り合ったりしました。ふたりは大学の同級生らしくて、片方の子は社会人1年目で新聞社の経理をやっていて、もう片方の子は留学で1年遅れているんだけれど、もうメーカーの広報への就職が決まっている大学4年生でした。僕はバスで内陸から湾の入り口にきて、これから歩くぞというところだったんですけれど、彼女らは湾の奥の方からクルマで戻ってくる途中だったらしいんです。なので、旅の情報交換とかをしましたね。「この奥って何かありますか?」「なにもないですねー」みたいな朗らかな会話をしました。本当になにもないらしいんですよね。ここは誰かが意図して作り上げた場所じゃないんです。本来は人が住むようなところじゃないところに無理やり人が住んだ結果、少しかたちを変えられた自然と、結果的に時代に取り残されてしまった街が残って、偶然あの美しさが生み出されているんだと思うんですよね。

そんなことをつべこべ考えながら歩いていたら、突然、携帯が鳴ったんですよ。見ると、LINEの通知が一件。なにごとかと思ったら、うちの事務所で働いている真辺くんという早稲田大学の学生がいるんですけれど、彼からのLINEだったんですよ。内容を読むと、こう書いてあったんです。「宇野さん、電車の中でイチャついているカップルを発見しました。女子がTシャツごしに男子の乳首を吸っています」。

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