宇野常寛責任編集 PLANETS 政治からサブカルチャーまで。未来へのブループリント

Serial

  • 2019.08.19
  • 石岡良治

宇野常寛 NewsX vol.40 ゲスト:石岡良治「現代アニメになにが起きているか」【毎週月曜配信】

宇野常寛が火曜日のキャスターを担当する番組「NewsX」の書き起こしをお届けします。6月18日に放送されたvol.40のテーマは「現代アニメになにが起きているか」。批評家で『現代アニメ「超」講義』を刊行したばかりの石岡良治さんをゲストに迎え、21世紀アニメで最重要の10作品をピックアップ。この20年で日本のアニメは何を描いてきたのか。その論点を改めて見直します。(構成:佐藤雄)

NewsX vol.40 「現代アニメになにが起きているか」
2019年6月18日放送
ゲスト:石岡良治(批評家)
アシスタント:加藤るみ

細田守が捨て去った『ぼくらのウォーゲーム』から21世紀アニメを始めよう

加藤 NewsX火曜日、今日のゲストは批評家・早稲田大学准教授の石岡良治さんです。よろしくお願いします。おふたりはお付き合いがもう長いんですよね。

宇野 10年以上の付き合いになります。石岡さんは僕の尊敬する批評家でありオタクとしての先輩でもあって、長い間、僕の媒体に書いてもらっています。
知り合ったのは、僕が物書きとしてデビューしてからで、これはよく話しているんですが、僕は石岡さんみたいな先輩にもっと早く出会いたかった。僕の田舎は北海道の帯広で、中学生のときにアニメにハマってオタクになっていくんだけど、人口15万人ぐらいの街の中学校に、僕みたいなやつが居たら、ダントツ一位のオタク力なんですよ。でも、本や雑誌を見るとオタクの世界はもっと深いわけ。それで高校は函館の寮のある進学校に行くことになるんだけど、高校には素晴らしいオタクの先輩が居て「宇野くん、こんな本も読んでないのか」「こんな漫画も読んでないのか」「こんなアニメも観てないのか」って感じで、毎日読まなきゃいけない本や漫画、観なきゃいけないビデオテープが山のように積まれてオタクエリートに調教してくれるものだと思って期待してたんだよ。ところが函館の高校も大したことはなくて。巨乳の女の子が魔法を使ってゴブリンを倒すライトノベルを読んで、「萌え〜」とか言ってるヌルいオタクがウロウロしているだけだった。「はぁ?」と思って絶望したんです。その後、1人で孤独に函館の古本屋を回る高校生活を送るんだけど、その10年後に石岡さんに出会って、本当にこういう先輩と出会いたかったと思った。石岡さんにオタクエリートとして導いて欲しい人生でしたよ。

石岡 逆に僕は最初に宇野さんに会ったときに、ガンダムトークでほぼ趣味が一致したんです。年齢はだいぶ下なのになんでこんなに一致するんだって思いましたね。

宇野 6歳下なんだけどその差は決定的なんです。僕はアニメファンとしては趣味が古くて、80年代アニメブームの頃のアニメが好きなんです。

石岡 そんな感じで長いお付き合いになっています。PLANETSチャンネルでも毎月番組をやらさせてもらっています。

宇野 その番組が今回『現代アニメ「超」講義』というタイトルで本になっています。

6d835ff61d40c6fd49729dac9c2df8d851e0979f
▲『現代アニメ「超」講義

石岡良治『現代アニメ「超」講義』 – PLANETS公式オンラインストア

加藤 本日のテーマはこちらです。「現代アニメに何が起きているか」。本の話も含めて石岡さんに今日はたくさんお話を伺いたいと思います。

宇野 石岡さんには何年もPLANETSチャンネルで番組をしてもらっています。文化時評の番組なんですけど、最近のアニメについて扱った回をテキスト化して再編集したものが、今回の『現代アニメ「超」講義』になります。おかげさまで素晴らしい本になりました。ここで「現代アニメ」と言っているのは21世紀のアニメのことです。この20年間のアニメについて網羅的にガチで語り尽くしていて、出てくる固有名詞は600個以上もあります。

加藤 それでもまだまだ語りきれなかったんですよね?

石岡 逆に「600個は少ない」と思う人もいるかもしれません。私も編集の段階でかなり落としていて。泣く泣く削ったものの一部が特典冊子に載っています。

宇野 この本は石岡さん以外の人には書けない本です。読んだ人は驚愕すると思う。この1冊でここ20年間のアニメのことが全部わかる。今後この本を抜きにここ20年のアニメを語ることはできないと思う。そのくらいの本が出来上がったので、著者である石岡さんに今日は来てもらいました。

加藤 最初のテーマはこちらです。「21世紀のアニメ 最重要作品10選」。

宇野 本書の中では数百作品を取り扱っています。それを40分のトークで語ることは無理なので、最重要である10作品に絞って語ってもらおうと思います。事前に選んでもらったものをボードにまとめています。

tqNQWUUpR-06MsL59huVpgSOXWdT6eWAmm-MwBfn

宇野 挙げていただいたのは『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム』『千と千尋の神隠し』『コードギアス反逆のルルーシュ』『けいおん!』『魔法少女まどか☆マギカ』『ソードアートオンライン』『プリパラ』『君の名は』『おそ松さん』『宝石の国』の10作品ですね。このセレクションそのものにも批評性があると思うんですが、今日は順番に語るのではなくランダムでいこうと思っています。時間の許す限りよろしくお願いします! 最初は何からいきます?

石岡 「21世紀のアニメ」と銘打ちつつ、実は20世紀末年に公開の『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム』から語ってみたいんですね。

宇野 るみちゃんも大好きな作品なんだよね。

加藤 大好きです。世代的にも直撃で、何十回と見てますね。

石岡 今回の『現代アニメ「超」講義』でも、この作品から21世紀を考えたいと思い、この作品を語るところから始めています。監督は細田守です。細田監督はここ十数年、つまり今世紀においては国民的アニメを作っている監督だと思われています。そしておそらく監督の名前を人々に拡めた作品は『サマーウォーズ』だと思うんです。夏休みのお茶の間にいる一家みんなで世界を救うみたいな話ですね。ところが『ぼくらのウォーゲーム』を知っていると、こちらの方が時間も短いし、エッセンスも凝縮されてる。『サマーウォーズ』よりもこっちの方が良い作品だと思うはずなんです。

加藤 『サマーウォーズ』が夏休みに地上波で放映されるたびに「『ぼくらのウォーゲーム』流してくれよ!」と好きな人は絶対に思いますよね。

この記事の続きは、有料でこちらからお読みいただけます!
ニコニコで読む >>
noteで読む >>

関連記事・動画