宇野常寛責任編集 PLANETS 政治からサブカルチャーまで。未来へのブループリント

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  • 2015.08.19
  • ウルトラマンフェスティバル2015

真夏の廃墟と怪獣たち――「ウルトラマンフェスティバル2015」レポート

今日は池袋・サンシャインシティ文化会館で開催されている「ウルトラマンフェスティバル2015」のレポートをお届けします。見どころはなんといっても、ウルトラマンシリーズの怪獣たちを圧倒的なリアリティで再現した巨大ジオラマ。真夏の日常を破る、カタストロフ的な想像力をお楽しみください。


 

■ 猛暑の東京から巨大怪獣の世界へ

2015年8月。日本列島は記録的な猛暑の中にあった。連日35度を超える東京では、ビルの室外機が熱風を吐き出し、アスファルトから立ち昇る蜃気楼が景色を歪め、街路ではサラリーマンたちが幽鬼のごとく彷徨っている。
ここ高田馬場にあるPLANETS編集部も例外ではない。狂った暑さに事務所の古びたクーラーはあまりに無力であり、熱で脳の機能が停止した編集部員たちは、死んだ魚のような目を虚空に漂わせている。
その様子を一瞥した宇野常寛がつぶやいた。

「この世界には巨大怪獣が必要である」。

編集部員たちの目に光が戻る。「この世界には」「巨大怪獣が」「必要である」。そうして我々は、呼び寄せられるように、一路、池袋・サンシャインシティへと向かったのだった。

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▲ 池袋・サンシャインシティ文化会館4Fで8月30日(日)まで開催されている「超・体・感 ウルトラマンフェスティバル2015」。会場BGMの歴代OP曲を聴いて、すでにテンションはMAX!

入り口のゲートを潜るとすぐに、不吉な文字が飛び込んできた。東京上空に飛来した謎の巨大物体。怪獣の出現を報じる憔悴し切ったアナウンサー。新聞の一面には邪悪な巨大生物の姿が掲載されている。そう、ここはもはや我々の知る世界ではない。地球外から飛来した巨大怪獣たちが存在している、もう1つの東京なのだ!

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▲ 防衛基地からエマージェンシーが発令される。初代ウルトラマン第2話「侵略者を撃て」冒頭の緊張感あふれるシークエンスが頭をよぎる

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▲ テレビのニュース番組でアナウンサーが聞き覚えのない怪獣の名前を連呼。新聞も怪獣の出現を号外で報じている

■ 真夏の昼下がり、東京は終末を迎えていた

果たして、我々の前に現れたのは、無残に変わり果てた東京の姿だった。廃墟と化した都市。崩れ落ちたビル群。瓦礫の山の中で戦う巨大怪獣とウルトラマンたち。我々の待ち望んだ光景が巨大ジオラマに展開されている。もはやこの世界は、巨大怪獣によって、完膚なきまでに蹂躙されてしまっている……!

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▲ ジラース、ではなく古代怪獣ゴメスに一撃を加えんとする初代ウルトラマン。近くに立ってウルトラチョップ! 周囲はすでに瓦礫の山となっている。

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▲ 大都市のビル群の中で、巨大魚怪獣ゾアムルチと戦うウルトラマンメビウス。あの怪獣使いは、まだどこかにいるんだろうか……。

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▲ ゾアムルチのしっぽをつかむウルトラマンタロウ。シリーズを超えてウルトラヒーローと怪獣が入り乱れた集団戦が繰り広げられている。背後ではハイパーゼットンにウルトラセブンの息子、ウルトラマンゼロが敢然と立ち向かっている。

突如、廃墟が赤く染め上げられた。血のような夕日の中に林立する巨大生物たち。世界の終末を告げるかのような黙示録的な情景が浮かび上がる。

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▲ 巨大ジオラマのライトアップは、一定時間で切り替わる。照明に照らし出された真っ赤な景色は、空襲を受けている大都市のようだ。

やがて紫紺色の闇に廃墟が包まれると、目とカラータイマーを発光させながら戦うウルトラマンが浮かび上がる。彼らも人類の味方でありながら、やはり巨大怪獣と同じ、惑星外からの使者であることを思い知らされる。しょせん人類など宇宙人から見れば「昆虫のようなもの」でしかないのか!

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▲ 薄明の中に浮かび上がる初代ウルトラマンと怪獣ゴメス。ジオラマはライティングによってめまぐるしくその表情を変える。

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▲ 街頭に転がる戦車の残骸。キャタピラが外れて走行不可能になった姿が無残。

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▲ 文明を破壊し尽くす神々の戦いを、我々人類は、ただ立ち尽くして眺めるしかないのだ……。

■ 巨大怪獣のリアリティを体感できる立体展示の数々

圧巻の大ジオラマのほかにも、「ウルトラマンフェス2015」には、ウルトラマンの世界をリアルに体感できる様々な立体展示が用意されている。特に見ておきたいのが、巨大なウルトラセブンの顔と、古代怪獣ゴモラの頭部。ウルトラマンや怪獣が、いかに常識離れした巨大さであるかを体感できるのだ。

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▲ ウルトラセブンの頭部が再現されたアトラクション。見慣れた顔のはずだが、ここまで巨大だと印象がまったく違う

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▲ 瓦礫の影には冷凍怪獣ガンダーが浮遊。足元のダクトからはガンダーの寒波攻撃を思わせる冷気が吹き出している。気温はもちろん零下140度。この酷暑の中ではじつに涼やか

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▲ 初代ウルトラマンより人気怪獣ゴモラ。古代の恐竜の生き残りらしい不敵な面構え。眼球は常にグリグリと動いてこちらを睨みつける。実際に万博会場で展示されていたら、このような感じだったのだろうか

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▲ 成人男性と比較すると分かる圧倒的な巨大さ……!

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▲ 場内には巨大なバルタン星人も展示中。腕にくっついているのはゴルゴン星人だ。ほかにも「隠れミッキー」のごとく、会場のいたるところにゴルゴン星人が隠されているので、探してみるのも一興

■ 触って楽しめるアトラクションや歴史資料も充実

ウルフェスでは実際に触って遊べるアトラクションが大充実。人気怪獣のエレキングやレッドキングのしっぽを、握ったり抱えたりして記念撮影できる。地球防衛チーム訓練ゲームでは、様々なアクションでミッション達成を目指そう。
ほかにも、撮影で使われたミニチュアの展示や、60年代のウルトラシリーズの撮影風景を再現したジオラマなど、盛りだくさんの展示が楽しめる。

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▲ 初代ウルトラマンに登場したレッドキングのしっぽ。思わず抱きしめたくなってしまうこのしっぽを、自由に触ったり抱いたりできる

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▲ レッドキングを背後から捕まえてジャイアントスイング! 場内には至るところに撮影スポットがあり、自由にスマホで写真を撮れるぞ

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▲ 地球防衛チーム訓練ゲームの1つ「アイスラッガーショット」。的の怪獣に向かってアイスラッガーを投擲。3回投げて合計5点獲得できれば成功だ。狙うべきはウルトラセブンを苦しめた憎き宇宙ロボット・キングジョー。当てれば一気に3得点をゲット!

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▲ ミニチュア展示コーナーでは、実際の撮影で使用したウルトラマンダイナ、ガイア、コスモスの飛び人形を公開。平成シリーズの光の戦士たちの勇姿を見逃すな。

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▲ 初代ウルトラマンに登場した怪獣テレスドンの頭部モデルを使用したミニチュアセット。地底からせり出してくる迫力のシーンが、卓上サイズで再現されている。

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▲ 『帰ってきたウルトラマン』に登場するマットアロー2号。こちらも実際の撮影で使用されたもの。脳内BGMで「ワンダバ」が鳴り響く!

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▲ ウルトラミュージアムでは、過去のウルトラマンシリーズの貴重な資料を公開。設定資料や企画書のほか、当時使われていたフィルムなどが展示されている。『帰ってきたウルトラマン』の設定資料には、見覚えのある怪獣の姿も。

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▲ 60年代?70年代のウルトラマンシリーズを撮影していた、東京美術センターの5番スタジオを再現したミニチュア模型。特撮黎明期のスタジオの熱気が伝わってくる。

■ ひと夏の怪獣幻想から再び日常へ

「ウルトラマンフェスティバル2015」の取材を終えて、宇野とその一行は再び池袋の街頭へと戻った。池袋サンシャインシティの中に、廃墟と化した東京が存在していることなどつゆ知らず、人々は忙しく街路を行き交っている。
うだるような暑さが支配する日常。世界は何一つ変わってはいない。だが、我々には、高層ビル群の間に顔をのぞかせる、巨大怪獣を幻視する想像力があるのだ。

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▲ 林立するビルの間から今にも巨大怪獣が現れそうな気がする……。

(C)円谷プロ