invitation to MAKERS 第2回 Pyrenee Drive――ネットワークが運転を支援する 株式会社Pyrenee 三野龍太【不定期連載】 | PLANETS/第二次惑星開発委員会

宇野常寛責任編集 PLANETS 政治からサブカルチャーまで。未来へのブループリント

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  • 2016.11.15
  • DMM.make AKIBA,三野龍太

invitation to MAKERS 第2回 Pyrenee Drive――ネットワークが運転を支援する 株式会社Pyrenee 三野龍太【不定期連載】

今朝のメルマガは「invitation to MAKERS」をお届けします。第2回は、株式会社Pyrenee(ピレニー)の代表・三野龍太さんのインタビューです。自動車のダッシュボードに取り付けることで、ナビやアラートなど様々な情報をドライバーに通知する「Pyrenee Drive」。運転支援デバイスというプロダクトを通じて考える、自動車の未来についてお話を伺いました。


『invitation to MAKERS 』、過去記事一覧はこちらのリンクから。
前回:invitation to MAKERS 第1回 Lyric speaker――言葉と音楽の新しい関係 株式会社SIX 斉藤迅
 
▼プロフィール
三野龍太(みの・りゅうた)
1978年生まれ。東京都出身。建築工具メーカーで製品開発を経験した後、独立して雑貨メーカーを立ち上げデザイン、生産、販売を行う。本当に人生を賭けるべきモノ作りとは何かを考えた結果「人の命を守る楽しい製品」との答えに行き着き、2016年にPyreneeを立ち上げ、最初の製品となるPyrenee Driveを2017年に発売するべく、メンバーとともに製品開発にとり組んでいる。
 
◎構成:長谷川リョー
 
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■危険を察知することで運転者を支援する「Pyrenee Drive」
 
――三野さんが開発を進めている運転支援システム「Pyrenee Drive(ピレニードライブ)」を拝見させていただきました。「カーナビ」と「ドライブレコーダー」をネットワーク化することによって進化させたプロダクトという印象を受けました。
 
三野 ハンドルの前のダッシュボードに取り付ける小型ディスプレイなんですが、普段はカーナビと同じように、道路地図や現在速度を表示しています。普通のカーナビと違うのは、2つの内蔵カメラによって、常に前方の道路状況をモニタリングしている点です。前の車が急ブレーキをかけたり、人が飛び出して衝突コースに入ったりすると、画面に「CAUTION」と表示され、警告音が鳴ります。これによってドライバーに注意を促し、交通事故を未然に防ぐことができます。
 
――映画『攻殻機動隊』に登場する、フロントウインドウが透過型ディスプレイの自動車を思い出しました。2つのカメラによる前方のモニタリングは、どの程度の精度で行われているのでしょうか?
 
三野 Pyrenee Driveは常にドライバーと同じ目線で前を見て、前方の自動車を捕捉・追跡し、距離の計測を連続的に行っています。もちろん自動車だけでなく、バイクや歩行者、自転車、ベビーカーも追跡対象ですし、さらには車線や道路上の文字も認識しています。
 
――デバイスの操作はどうやって行うのですか?
 
三野 基本的な操作は音声を通じて行います。これはスマホの音声認識の機能を利用していますね。ほかにも、電話、音楽、LINEなどのメッセージングアプリ、天気予報やスケジュールなどの機能を、運転中にPyrenee Drive上に呼び出して表示させることができます。普通のカーナビやスマホの場合、どうしても横や手元を見ながらの運転になってしまいますが、Pyrenee Driveでは、フロントガラスの手前に透明のウインドウを設置するので、前方を見た状態のままで、運転しながら操作することができるんですね。さらに、ハンドルに取り付けるタイプのリモコンを付けることも検討中です。上下左右を選んで決定ボタンを押したり、マイクボタンが付いている薄い腕時計のようなものです。ハンドルから手を離さずに親指で操作できるので、音声認識と組み合わせれば運転中でもほとんどのことができるようになります。
 
――似たような技術として、ロボットアニメに登場する「全天周モニター」がありますよね。周囲の全景を球体ディスプレイに投影して、敵機が接近するとアラートが鳴るインタフェースですが、あれのコンパクト版のようにも見えます。
 
三野 実はその技術は軍事方面では実用化されていて、F35という戦闘機は、機体の外側のあちこちにカメラが付いていて、コクピット内のパイロットは自分の前後上下左右のすべてが透けた状態で見えるようになっています。空中で一人浮いているような、何も遮るものがない状態で戦闘機を操縦している。凄いですよね。
 
――Pyrenee Driveも、将来的にはフロントウィンドウ全面がディスプレイになるようなデバイスに進化しそうですね。
 
三野 それができると完全にARの世界で、道路と重ねた状態で様々な表示を出せるようになります。ただし、バグが出ると最悪、視界が真っ白になって一切前が見えなくなるので、そのあたりが課題です。また、法的な規制もあって、自動車のフロントウィンドウに何かを貼ったり付けたりするのは道交法で禁止されているんです。上部20%はいいんですが、下部80%には付けちゃいけないんですよ。ただ、ダッシュボードに置く分には問題ないので、Pyrenee Driveはそこでクリアできてます。あと、車の前方2メートルの位置に1メートルの棒を立てて、その上端をドライバーが視認できないといけない規則もあるんですが、これもウインドウが透明なので問題ないです。

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