宇野常寛責任編集 PLANETS 政治からサブカルチャーまで。未来へのブループリント

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  • 2016.08.03
  • 人類を前に進めたい,猪子寿之

猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第11回「身体でアートへ没入し、世界との境界を無くせ!」【毎月第1水曜配信】

今朝のメルマガは、チームラボ代表・猪子寿之さんによる連載『猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉』の第11回です。今回は、この夏公開のチームラボの作品を次々に見ながら、猪子さんの最近の問題意識の主題を探ります。作品の中で境界を消滅させようとしたとき、それでも私たちの頭の中で働いてしまう境界をめぐる想像力。それをいかにして猪子さんは「破壊」しているのでしょうか――。


▼プロフィール
猪子寿之(いのこ・としゆき)
1977年、徳島市出身。2001年東京大学工学部計数工学科卒業と同時にチームラボ創業。チームラボは、プログラマ、エンジニア、CGアニメーター、絵師、数学者、建築家、ウェブデザイナー、グラフィックデザイナー、編集者など、デジタル社会の様々な分野のスペシャリストから構成されているウルトラテクノロジスト集団。アート・サイエンス・テクノロジー・クリエイティビティの境界を曖昧にしながら活動している。
47万人が訪れた「チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」などアート展を国内外で開催。他、「ミラノ万博2015」の日本館、ロンドン「Saatchi Gallery」、パリ「Maison & Objet」など。2月からシリコンバレー「teamLab: Living Digital Space and Future Parks」、イスタンブール「Borusan Contemporary」、5月はバンコク「Central World」、また3月からシンガポールで巨大な常設展「FUTURE WORLD: WHERE ART MEETS SCIENCE」開催中。
http://www.team-lab.net

◎構成:稲葉ほたて

本メルマガで連載中の『猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉』配信記事一覧はこちらのリンクから。
前回:猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第10回「〈外部〉のない世界へ!」

■DMM.プラネッツはバカでかい!

猪子 いまハンパない展示をしてるんだよね。
実は、フジテレビの「お台場みんなの夢大陸2016」で、DMM.comとコラボした「DMM.プラネッツ Art by teamLab」というのをやっているんだよ。3000平米の完全閉鎖の巨大テントを立てて、そこで4作品だけ展示する。もう二度とこんなすごいことはできないかもしれない(笑)。

宇野 僕も内覧会で体験したけれど、文句なしにすごかったね。規模的にもそうだけど、内容的にもこれってチームラボがこの2、3年やってきたことの集大成だと思うよ。

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▲7月16日から8月31日まで、チームラボは、フジ「お台場みんなの夢大陸2016」DMM.プラネッツ Art by teamLabにて、超巨大なデジタルアート作品群を展示している。

猪子 このテントに入るときまずは、靴をぬいで、みんな裸足になってもらうんだよね。テントの中は、迷路みたいになっていてその中に作品が展示されている。
最初に通るのは、「やわらかいブラックホール – あなたの身体は空間であり、空間は他者の身体である」(以下、「ブラックホール」)という作品。ふわふわで、とてもやわらかい素材のうえを、まるで沈み込みながら歩いていく。

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▲「やわらかいブラックホール – あなたの身体は空間であり、空間は他者の身体である

「人が触れることができるところのすべてが、沈み込むほど、やわらかい空間。空間は真暗で、床と壁の境目はない。人々が作品空間に入ると、空間自体が、人々の身体の重さに影響を受け変化する。そして、人々の身体は、変化する空間に影響を受ける。人々は、互いに作品空間を通して、それぞれの影響を受け合う。
あなたの身体は空間を変化させ、そして、その空間は他者の身体を変化させる。」

宇野 入るといきなりこれだもんね(笑)。みんな面食らうと思うのだけど、実はこの時点で、猪子さんが観客に通常とは異なる論理で構成された空間と、あたらしい他者像を体験させようとしていることが宣言されているわけだね。

猪子 そう。この「ブラックホール」の後に続く3作品についても、アプローチは違うにしろ、同じコンセプトを持っていて、アート作品そのものの中に身体で完全に没入してもらいたいと思っているんだ。これまでは、絵画や彫刻に代表されるように、作品と人間には境界があって、境界がある上で、対峙して鑑賞していたと思うんだ。空間型のインスタレーションは、作品を体験をするけれども、やはり人間がいる場所は空間だったと思う。でも、今回は、作品そのものに、身体ごと没入していくという体験にしたかった。でも、現代人は、頭が全てみたいになっているでしょ? テレビやスマートフォンも頭で理解してわかったつもりになっているし、そもそも自然界にはない硬い平面で構成された都市で生活していると、身体を忘れてしまう。だから、エントランスで裸足になって、水の中を通って、この全くちゃんと歩けない、全身を使わないと転んでしまう空間を通ることで、無意識に、無理やり身体を思い出してもらおうと思ったんだ。人間は、しょせん、身体の塊であると。
さらに「Crystal Universe」という作品を、2015年に銀座(ポーラ ミュージアム アネックス)で展示したときの約6倍の大きさにして、「Wander through the Crystal Universe」という名前で展示しているんだよ。

宇野 ああ、あの作品は絶対に広い方がいいね。あの作品はさ、それこそ宇宙のようにどこまで奥行きがあるかわからない空間に入り込んでしまったかのような錯覚を、観客の脳に与えることが大事だからね。

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