宇野常寛責任編集 PLANETS 政治からサブカルチャーまで。未来へのブループリント

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  • 2018.01.05
  • 宇野常寛

宇野常寛『汎イメージ論 中間のものたちと秩序なきピースのゆくえ』第二回 チームラボと「秩序なきピース」(前編)(8)【金曜日配信】

本誌編集長・宇野常寛による連載『汎イメージ論 中間のものたちと秩序なきピースのゆくえ』。「PLANETS vol.9」での企画構想中に、「都市をまるごとアートにする」ことを思いついたというチームラボ代表・猪子寿之さん。それぞれ異なるかたちで人間と自然、人間と歴史、人間と世界とを接続しようとしている猪子さんジョン・ハンケの思想を宇野常寛が分析します。(初出:『小説トリッパー』 秋号 2017年 9/30 号

8 都市と自然への視線――ジョン・ハンケと猪子寿之

そして、人間と事物、人間と世界との間の境界線を無化する猪子とチームラボのプロジェクトはいま、その対象を自然から歴史へと拡大させつつある。具体的には「デジタイズドネイチャー」で培われたノウハウはいま、都市空間へと拡張しつつあるのだ。その端緒となったのが、私が出版する批評誌〈PLANETS〉の企画だという。二〇一五年に発行した同誌第九号では「オルタナティブ・オリンピック・プロジェクト」と題して、来るべき二〇二〇年の東京五輪――このタイミングで開催する大義もなければ、満足な都市計画もないまま「なんとなく」誘致して消去法で選ばれてしまっただけのあの空疎な東京五輪の「対案」を、競技中継からパラリンピックの再定義、都市計画にいたるまで網羅的に一冊にまとめた。そしてこのとき開会式の演出プランと競技中継を担当したのが猪子だった。

猪子率いるチームラボは、東京の都市空間そのものをインタラクティブなデジタルアートの展示場とし、街頭の市民の鑑賞がメイン会場の開会式の演出に関与するという壮大な開会式のプランを提出した。街頭に展示されたデジタルアートに市民が近づく/触れると、開会式の会場でのインスタレーションと連動し変化をもたらす。そうすることで、一般市民にとっては映像の中の「他人の物語」でしかないオリンピックを「自分の物語」に変化させる、というのがそのコンセプトだ。そして、猪子は同誌の企画を構想中に「都市をまるごとアートにすることを思いついた」のだという。

〈この企画を考えていたときに、「競技場のあるなしはあまり重要じゃなくて、デジタイズドすれば東京そのものがオープニング会場になるんじゃないか」と思ったんだよね。デジタル化することで全く新しい体感の都市にできるじゃないか、街をまるごと街のままアートにできるんじゃないかと思ったのね。〉(13)

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