宇野常寛責任編集 PLANETS 政治からサブカルチャーまで。未来へのブループリント

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  • 2017.04.12
  • 古川健介

古川健介『TOKYO INTERNET』第8回 インターネットビジネスにおける日本型エコシステムの可能性【毎月第2水曜配信】

「けんすう」こと古川健介さんが日本的/東京的なインターネットの特質に迫る連載『TOKYO INTERNET』。今回は、シリコンバレーと比較したときに見えてくる日本のインターネット企業の特徴と、今後の可能性について考察します。

インターネットビジネスにおける日本型エコシステムの可能性

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(イラスト・たかくらかずき)

 

この連載も8回目になりました。そろそろ終盤ですが、このあたりで一度、この連載の目的を再確認したいと思います。
この連載の出発点は、「インターネットサービスは、都市の影響を受けやすい。その都市がどのようなサービスを作る土壌があるのか、ということを整理することで、今後、東京という都市でサービスを作る人への手助けをしたい」というところです。
今、世界を席巻しているグローバルサービスは、多くがシリコンバレーという土地から生まれています。その代表例が「GAFA(Google Apple Facebook Amazon)」です。これはビッグ4とか呼ばれたりします。
ちなみに中国にも「BAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)」と呼ばれる巨大ネット企業たちがあります。もはや中国はシリコンバレーに次ぐ規模と盛り上がりになっています。しかし、中国企業は、世界中で使われるサービスを作るというより、中国国内でシェアを獲得して大きくなっている感があります。
しかし、シリコンバレーがいくら強いからといって、シリコンバレーでなければ世界で勝てない、と嘆くのもナンセンスではないかと。日本から・東京からでも独自のサービスを生み出せ、世界で戦っていけるというふうに信じているのが僕の立場です。
では、東京からサービス生み出すのはどうしたらいいのか?に関しては、2つの方法があります。1つ目は、グローバルで使われるニーズがある普遍的なサービスで、グローバル市場で勝つというやり方です。そしてもう1つが、日本や東京の独自性を背景にニッチ部分で勝つというやり方です。
このどちらでも良いのですが、どちらを選ぶにせよ、今の自分たちには、どのような土壌があるのか、を整理することが大事なのではないかと思いました。寒い地域でバナナを植えても育ちづらいように、寒い地域であれば寒い地域で有利なものを植えたほうがいいよね、という考えです。

TOKYO INTERNETの連載の振り返り

というわけで、今までの連載を振り返ります。
まず、第1回目の『東京っぽいインターネットサービスは「遊び半分」がキーワード』では、基本的な真面目な国民性からか、遊び心を2割程度入れると、不謹慎だと叩かれやすいが、半分以上遊ぶと、賞賛される、という点について話しました。
そして、第2回目の『シリコンバレーのハッカー文化と東京オタク文化の大きな違い』では、問題を解決するために手段を選ばないハッカーとの対比として、手段を目的化するオタク文化が日本にはあるのではないかと述べました。
第3回では、第一回目の続編に近いイメージで、テキストサイトをビジネスモデル化したバーグハンバーグバーグについて書きました。『テキストサイト文化が生み出した「真面目にふざける」ビジネスモデル』です。
前半の3回をまとめると、プロセスを楽しみ、遊びのようにふざけながらそれをビジネス化までする、という日本独自の形が浮かび上がってきます。職人的ともいえますし、長期のビジョンを描いて、そこまで最短ルートでいく、ということが弱いとも言えます。
そして、第4回で、『なぜTwitterは日本における最強の投稿サービスなのかを考察してみる』という内容を書いています。Twitterが流行っていった裏側として、日本の匿名掲示板などの歴史を追い、現在ではTwitterまでたどり着いているという内容でした。
第5回では、『なぜ日本が世界共通語「Emoji」を生み出したのか、そしてその影響とは』で、絵文字が流行った理由を書きました。非言語化や、葦手絵などの、ビジュアルが強いという面と日本の独自性を探っています。
そして、第6回では、第4回目でも言及した匿名性をさらに深掘りをしています。『日本における匿名とは、自分のことを隠すことではなく、関係性をゼロにすることである』というタイトルで、なぜ匿名を好むのか、の源泉について語りました。
この中盤の3つでは、日本的なコミュニケーションのあり方について考えを深めています。というのもインターネットサービスのコアは、人間と人間とのコミュニケーションだからであり、そこを深めることが、この国や、東京という都市から生み出せるサービスの特徴を形付けやすいからだと思っています。
ご存知の通り、国ごとでコミュニケーションのプロトコルはそれぞれ違うものなので、その意味でも国ごとの特徴がでやすいというという点でも参考になりやすいです。
そして前回、第7回目の記事の『匿名性の次の依代「初音ミク」から見る日本が作れるプラットフォームとは』では、その匿名性をさらに一歩進めた形で、初音ミクを取り上げています。初音ミク的なものが日本が作れるプラットフォームの形の一つなのでは、という内容です。
ここまで、どちらかというと文化的背景、カルチャー的な部分についての記事が中心でした。第8回目となる今回の記事では、少し毛色を変えてインターネット企業の経営について話していきたいと思います。

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