宇野常寛責任編集 PLANETS 政治からサブカルチャーまで。未来へのブループリント

Serial

  • 2016.05.05

テレビから読み解くイギリスのマスカルチャー(橘宏樹『現役官僚の滞英日記 オクスフォード編』第7回)【毎月第1木曜配信】

今朝は橘宏樹さんの連載『現役官僚の滞英日記』をお届けします。今回はイギリスのテレビ番組が社会のなかで果たしている機能や、そこから見えてくるイギリス人たちの大衆感覚について考えます。


 
▼プロフィール
橘宏樹(たちばな・ひろき)
官庁勤務。2014年夏より2年間、政府派遣により英国留学中。官庁勤務のかたわら、NPO法人ZESDA(http://zesda.jp/)等の活動にも参加。趣味はアニメ鑑賞、ピアノ、サッカー等。
 
本メルマガで連載中の橘宏樹『現役官僚の滞英日記』これまでの配信記事一覧はこちらのリンクから。
前回:「英国型プラットフォーム」と2つのキャピタリズム――「プロデュース理論」で比較する日英のイノベーション環境(橘宏樹『現役官僚の滞英日記 オクスフォード編』第6回)
 
※本稿の内容(過去記事も含む)に関して、皆様からのご質問や、今後取材して欲しいことを受け付けたいと思います。こちらのフォームまたはTwitter(@ZESDA_NPO)にお寄せいただければ、できるかぎりお応えしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 
おはようございます。オクスフォードの橘です。このたびの熊本の地震では、多くの方々がお亡くなりになり、避難生活を余儀なくされておりますこと、心から残念に存じます。私からも些少ではございますが募金をさせていただきました。オクスフォードでも多くの人々から「クマモトは大丈夫か!?」とよく声をかけられる日々です。一日も早い復興を心よりお祈りしております。
こちらは春休みが終わり3学期が始まりました。6月上旬の試験も視野に入ってきます。そして、7月下旬には最終帰国することになります。もう5月というのに気温はいまだ上がらず、今夜に至っては雪まで降っています。一方で嬉しいお知らせもあります。本連載第4回でインタビューを行ったデザインエンジニアの吉本英樹君が作品を展示したアイシン精機株式会社のブースが、世界最大の家具見本市「ミラノサローネ」において、1000を超える出展ブースのベスト6に入賞する快挙を成し遂げました。
 
ロンドンの日本人たち――「世界」に手が届く場所で(橘宏樹『現役官僚の滞英日記』第4回) 
 
吉本君の才能と努力、また彼を支える大勢の人々の想いや尽力があってこその成果だと思います。彼の挑戦の模様は、テレビ東京系列「ワールドビジネスサテライト」で特集され、4月19日に放映されましたので、ご覧になった方もいらっしゃるかも知れません。
 
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▲「Milano Design Award 2016 Best Engagement by IED」を受賞
(アイシングループWEBサイト)左端が吉本英樹氏
 
“tangent”(吉本英樹氏事務所)
 
僕もまた、前回の連載で述べたような「カタリスト」として“introduce”によって貢献したんだ! と自己主張するわけではないのですが……実は、今回の番組企画は僕の方で吉本君をテレビ東京関係者に紹介したことに端を発して実現しました。彼を取材し番組にしてくれたテレビ東京に大変感謝しています。WBSでの放映を通じて喜びを日本の皆様とも分かち合えたら嬉しいです。
 
■イギリスのテレビ文化は「コモンウェルスの共通体験」
 
さて、今回はイギリスのテレビ番組のことを書いてみたいと思います。昨年の9月にオクスフォードに引越してきてからテレビを買いました。部屋でご飯を食べたり、作業したりしながら見ています。英語の字幕表示をオンにすると聞き取れない部分もわかりますし、良い勉強になります。もちろん学校の課題にも追われている身分ですので、本当は「テレビから読み解くイギリス」などと銘打てるほどテレビは観られていないですし、BBCのように日本でも視聴可能なチャンネルも多いと思います。しかし個別のチャンネル云々というよりも、チャンネルをザッピングしていて受ける印象といいますか、イギリスにおけるメディア・パッケージとしてのテレビ、コンテンツの全体的な雰囲気はレポートする価値があるような気がします。
 
なぜなら、これらのチャンネルの多くは、53カ国22億人からなるコモンウェルス(旧英領植民地)でも共有されているコンテンツだからです。BBC Worldなどは全世界に向けて放映されています。僕はこれまで30カ国くらいを訪れたことがありますが、アフリカから太平洋島嶼(とうしょ)部まで、少なくともコモンウェルス各国の番組構成は実際かなり似ていた記憶があります。
言い換えると、ロンドンでの出稼ぎ労働者や留学生が母国の家族と「今週の◯◯見た?」と話題を共有することができ、例えばインド人と南アフリカ人など地域文化がかなり異なっていても、同じコモンウェルスなので「何歳くらいにどういう番組を見ていたか」という体験が共通していたりして、初対面でも文脈が共有可能なんです。メディア・パッケージそれ自体が、ソフト・インフラとして機能しているわけです。
 
そこで今回は、日本のテレビ事情との違いなど気づいたことや、特におもしろいなと思ったテレビ番組について書いてみたいなと思います。
 
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▲イギリスの東南端、ドーバー海峡に面したホワイト・クリフ。晴れた日には海の向こうにフランスが見えるそうです。

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