宇野常寛責任編集 PLANETS 政治からサブカルチャーまで。未来へのブループリント

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  • 2017.11.15
  • 周庭

ジョシュア・ウォン×周庭「香港返還20周年・民主のゆくえ」質疑応答編(御宅女生的政治日常――香港で民主化運動をしている女子大生の日記)【毎月第3水曜配信】

香港の社会運動家・周庭(アグネス・チョウ)さんの連載『御宅女生的政治日常――香港で民主化運動をしている女子大生の日記』。今回は2017年6月14日に東京大学駒場キャンパスで行われた講演「香港返還20周年・民主のゆくえ」の質疑応答編をお送りします。会場からの質問に答えながら、香港人としての民主を目指す思いを語ります。(構成・翻訳:伯川星矢)
※文中の役職は、講演当時のものです。
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政党を作るという決断、正しいことをしていると信じて

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倉田 大変興味を持ったことがありますので、私からいくつか質問をしたいと思います。学生運動は学生が卒業すると終わってしまうから、それを永続的にするために政党を作るという選択をしたというお話がありました。ただ、まだジョシュアくんも周庭さんも、現役の学生であり、立法会議員のネイサン・ローさんも学生です。私たち日本人から見て現役の学生が政党を作るというのはなかなか想像ができないことです。お金もかかるし、ものすごいマンパワーも必要なり、勉強の時間も犠牲にしなければならない。実際ネイサンも留年をしているようですね(笑)。また、学民思潮のようなインターネット上で広がった組織を、実体のある組織にしていくというのも大変な努力が必要だと思います。そのなかでなぜ政党を作るという選択肢にいたったのかお聞きしたいです。
なぜ、香港に他にある既存の政党に入るという選択にならなかったのか。また、日本で若者が活躍していたSEALDsは政党を作るよりもすでにある政党と協力することを選びましたが、お二人はなぜ今ある政党と協力するのではなく、自分たちの政党を作るという方向性に行ったのでしょうか。その選択の理由を教えてください。

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周庭 どうして既存の政党に加入しなかったかというと、わたしたちの代表となるべき政党がなかったからです。公民的なことを目指す政党はあっても「民族自決」を主張する政党はありません。私とジョシュアが学民思潮に所属していたときに解散を検討したこともありました。でも、政治活動を続けたい人も多くいました。学連もありますが、首席を務められるのは一年だけです。だから、自分たちの政党か必要でした。

倉田 雨傘運動のあとに民主派という伝統的な集団に加えて、自決派、本土派と呼ばれるような様々なグループが出てきて、複雑な状況になっていますね。それぞれのグループ・主張の間にどのような違いがありますか。

周庭 民主派、自決派、本土派の違いには日本の政治環境とは異なる難しさがあると思います。まず、保守的民主派は親北京派と深い関係にあるがゆえに「一国二制度を守る」と主張しています。わたしたちの目指す「自決」とは香港市民が自ら未来を決めるということを意味しています。住民投票という方法を使って自分たちの未来を決められる状態が、民主自決です。香港にはその権利がありません。中国政府がそれを望んでいないからです。中国政府は一国二制度を主張する一方、同時にその破壊を進めています。

本土派は「中国」と「香港」は違う個体だと主張していて、中国大陸から来る人々に対しても厳しい態度を取っています。わたしたちは香港に来た人は歓迎しますから、その辺りの考え方が違います。実は本土派はまとまっていなくて、去年も内部分裂していました。本土派で一番有名なのは青年新政です。議席を取り消された議員が2名所属しているのは、この青年新政です。まさか何万票もの得票で選出された議員がこういうふうになるとは……。こんな不公平なこと、日本では想像ができないと思います。

倉田 これからのDemosistoには大きく3つの路線があるということでした。議会での活動、国際社会とのつながり、あとは街頭での抗議活動。このなかでも街頭での抗議活動を当初から重要視されていましたが、それには恐らく社会の人々を駆りだすような状況が必要だと思います。政府の対応に左右される面もありますね。例えば雨傘運動に関して言えば、2014年9月28日に政府が催涙弾を撃つ対応を行い、これは結果的に非常に多くの人がこの運動に参加するきっかけとなりました。つまり、今の梁振英行政長官がタカ派であるということが影響していると思います。
もうすぐ7月1日が来て、行政長官がキャリー・ラムになります。現状支持率も上がっているように見え、そうなると今度からは街頭にたくさんの人を動員するのは難しいのではないかとも思えます。それでも香港での抗議活動は続くと思いますか?

周庭 まもなく7月1日になり、非民主的な制度で選出された新しい行政長官が生まれますが、新旧の行政長官ともに中国にコントロールされている人ですから、わたしたちにとって大した違いはありません。キャリー・ラムはソフトな路線でいこうとしていますが、政策などはやはり中国共産党の態度次第になると思います。今度習近平が来訪するので、そのときのスピーチから彼の態度と意向も推測できると思います。

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