宇野常寛責任編集 PLANETS 政治からサブカルチャーまで。未来へのブループリント

Serial

  • 2018.01.01
  • 宇野常寛

宇野常寛より、新年のご挨拶(全文無料公開)

あけましておめでとうございます。

宇野常寛です。

昨年は(特に後半に)色々とご心配をおかけしました……という嫌味な書き出しを考えていたのですが、しかしこういう語り口はもう要らないのでは、と考え直し、やめました。

端的に2018年はこれまで培ってきたものをしっかりと活用して成果を積み上げていく。そんな1年にできたらと思っています。

秋に開催した立教大学のシンポジウムで、富野由悠季監督に「いまがお前のターニングポイントだ」と言われたのですが、それはたぶん、こういうことなんだろうな、と考えています。

30日の忘年会でも発表しましたが、2018年のPLANETSは新しいことにチャレンジしていきたいと考えています。

【1】PLANETS vol.10 今夏発売予定

2015年2月のvol.9(オルタナティブ・オリンピック・プロジェクト)から3年ーーPLANETS本誌、つまり「紙」の雑誌が再起動します。

2018年夏、この3年に溜め込んだノウハウを総動員し、大きくアップデートされた「P10」をみなさんのお手元にお届けする予定です。

この一冊に、いま僕たちが見えている世界観をすべてを凝縮します。

テーマはいまのところ「都市」「戦争」そして「2010年代の想像力」です。この3つのキーワードは一見バラバラです。しかし、本来はつながないはずものをつなげてしまうこと(例「村上春樹」と「仮面ライダー」)こそが、批評の力です。

そんな批評の力を体現し、触れることで確実に世界の見方が変わるような、それも「どうせ……だ」としたり顔で語る話術を覚えるのではなく、「なら……してみよう」と思えるような、そんな一冊にできたらなと思っています。いや、します。

【2】無料ウェブマガジン(タイトル未定)今夏開設予定

現在のインターネットは人間を「考えさせない」ための道具になっています。フェイクニュース、陰謀論、そして無数の「炎上」。ネットサーフィンという言葉が機能し、インターネットが万人に対しての知の大海として開かれる可能性は、つい最近まで信じられていたはずですが、もはやそれは遠い遠い過去のような錯覚を私たちに覚えさせます。

このウェブマガジンの最大の目標。それはGoogle検索の引っかかりやすいところに、良質な読み物を置くこと。そうすることで少しでもインターネットを浄化すること。ほんとうのインターネットのすがたを取り戻すこと。世界に対し、その態度表明をすること、です。

このウェブマガジンではこれまでの〈PLANETS〉の紙雑誌、メールマガジン、インターネット生放送、トークイベント同様に政治、経済、文化、ライフスタイルなど多岐に渡る話題を扱います。しかし、その話題は僕(宇野)と編集委員たちのキュレーションにより、厳正に選択されます。おそらく、その誌面で言及される事物は新聞、テレビなどのオールドメディアとも、TwitterやFacebookで「拡散」される既存のインターネットメディアともまったく異なるものになるでしょう。ここで扱かわれるものたちは、少なくとも投稿された瞬間に「バズる」ことはないでしょう。

しかし、それで構わない。それが僕の結論です。

それでは世の中は変らない、と考える人もいるでしょう。時代と並走する速さがない言葉は埋没してくだけなのだ、と。だが僕の意見は逆です。いまこの時代の速さに流されてしまうと逆に、何も残らなくなる、と。

誤解しないで下さい。僕は反動的であろうとか、あえて教条的であろうとか、そういうことを考えているわけではありません。過去よりは現在を、現在よりは未来を射程に入れたものを提供したいという気持ちは変わりません。だからこそ、この瞬間の構造的な茶番ともいうべきものには付き合えない、と判断しました。

いま世の中を変えるために必要なのは、もっと「遅い」インターネットだ。それが僕の結論です。

【3】オンラインサロン〈PLANETS CLUB〉4月開設予定

そしてこの2つのプロジェクトを進めるために、いや、これから僕らがやろうとしているありとあらゆるプロジェクトを支援してもらうために、この春にオンラインサロンを開始します。ここに掲げたものを満足の行くレベルで実現するためには、いまの僕たちはあまりにも非力です。資金力も、組織力も足りません。

そこでみなさんの助力をお願いしたいと考えています。PLANETSというプロジェクトを推進する仲間として、僕に力を貸してください。集めた資金で組織を拡充し、より洗練されたものを産みます。そしてメンバーの力を借りて、この運動そのものを拡大していきたい。僕はそう考えています。

いまから10年ほど前、デビューしたての、駆け出しだった頃の僕は自分のメッセージが誰にも伝わらないことに絶望していました。だからこそ、アイロニカルに振る舞い、読者の心をかき乱し、場合によっては挑発することによって結果的に状況を緩和することができればいい、そう考えていました。

しかし今の僕は、考え方を改めています。決して数は多くないけれど、10年間発信し続けてきた僕の言葉に耳を傾け、吟味し、建設的な再検討を加え、そして共闘してくれる仲間は僕が当時想像していたよりもずっとずっと多かった。論壇とかマスコミとか、そういった「業界」からどんどん孤立し、有り体に言えば潰されかけていた数年前の僕がこうして発信を続けていられるのは、この予想外の支持があったからに他なりません。こういう書き方をするのは少し恥ずかしいですが、僕はそれが端的に嬉しかった。

だからいまは思い切ってストレートにこう呼びかけたいと思います。僕に力を貸してください。

あと、個人的には大好きな京都の本を書きたいとか、久しぶりに小説を書きたいとか、もっと入門的な普及本を書きたいとか、中高生向けの本をやってみたいとか、相変わらずやりたいことのリストは山のようにあります。しかし大事なのは1つずつでも「実現」することなので、腰を据えてじっくり、しかし確実に進めていければと思っています。

気がつけばPLANETSも13年目、いまのかたちの会社組織にしてからも5年目に入ります。

メンバーも代替わりし30歳前後のスタッフたちが中核になり、20代前半のより若いスタッフたちを動かしているのが今のPLANETSです。この若い力を引き出して、力のあるものを発信していきます。

2018年も、よろしくお付き合いください!

宇野常寛

この記事の続きは、有料でこちらからお読みいただけます!
ニコニコで読む >>
noteで読む >>