宇野常寛責任編集 PLANETS 政治からサブカルチャーまで。未来へのブループリント

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  • 2018.06.28
  • テレビ,宇野常寛

宇野常寛 ドラマが”話題になる”とはどういうことか――『あまちゃん』と『ごちそうさん』の比較から見えること(PLANETSアーカイブス)

今回のPLANETSアーカイブスは、宇野常寛による『あまちゃん』と『ごちそうさん』の考察の再配信です。2013年上半期に放映された『あまちゃん』よりも高視聴率を誇っていたにもかかわらず、下半期の『ごちそうさん』は”話題にならない”という印象を持たれていました。二作の比較から、私たちの「テレビとの付き合い方」について考えます。 (初出:「PRESIDENT」2014年1.13号)※本記事は2014年1月30日に配信した記事の再配信です。

▲Amazon.co.jp: NHK連続テレビ小説 ごちそうさん 上: 森下 佳子, 豊田 美加:本

朝ドラ『ごちそうさん』はなぜ話題にならないか

 いきなり内情を暴露してしまうところからはじめよう。今回の「『ごちそうさん』はなぜ話題にならないか」というタイトルは、僕がつけたものではない。前作『あまちゃん』が半ば社会現象と言えるヒットを見せたことに対して、後番組である『ごちそうさん』の話題性が低いという「前提」で僕に寄稿の依頼があった。
 しかし私見では『ごちそうさん』は話題になっていないどころか、『あまちゃん』に匹敵するレベルで話題になっている。少なくとも露骨に見劣りするレベルではない。平均視聴率は数週に渡って二〇%を超え、むしろ『あまちゃん』より良好だ。そして僕らドラマファンの間でも巧みなストーリーテーリングと脇役にまで気の利いたキャラクター演出が相まって非常に評価が高い。
 では、なぜこうした問いが編集部から投げかけられたのか。結論から述べてしまえば、『あまちゃん』は「普段朝ドラを見ない人たち」の間で異常なほど話題になっていたからだ。意地悪な表現を選べば、普段は「朝ドラ」など視界にも入らない「インテリ」の中年男性の間で、『あまちゃん』だけがめずらしく話題になったのだ。
 まず、ドラマが「話題になる」とはそもそもどういうことかを考えてみたい。一般的にテレビ番組の人気度は視聴率で計られる。もちろん、この数字は現代においては大きく形骸化していると言わざるを得ない。たとえばこの数字は計測方法の問題で録画視聴やオンデマンド視聴をまったく含めることができない。また、一定時間そのチャンネルを受像機で選択している状態を「視聴している」と判別するために 、視聴者の性質について反映することができない。つまり、チャンネルをザッピングしながらたまたまお気に入りの俳優や美味しそうな料理に目をとめただけの視聴者と、ツイッターで熱心に実況しながら放送をくまなく追いかけ関連グッズも買いあさる熱心な視聴者との区別をつけることができない。たとえばCMの訴求力一つとったとしても両者を同じ視聴者としてひとくくりで考えることにほとんど意味はないだろう。
 しかしその上であえてまずは視聴率から両者を比べてみると、『あまちゃん』の平均視聴率が二〇・六%であるのに対し、『ごちそうさん』の平均視聴率は一二月七日(第一〇週)時点で二一・九%と、むしろ高いくらいだ。にもかかわらず、本誌編集部が代表する「普段あまりドラマを見ないホワイトカラー中年男性」からは『ごちそうさん』は「話題になっていない」ように見える。ここにこの問題のクリティカル・ポイントがあるように思える。

 

 

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