長谷川リョー 考えるを考える 第16回 “オープンソース”にインセンティブ文化を根付かせる。横溝一将の、あえて“自分で考えない”思考法 | PLANETS/第二次惑星開発委員会

宇野常寛責任編集 PLANETS 政治からサブカルチャーまで。未来へのブループリント

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  • 2019.05.23
  • 長谷川リョー

長谷川リョー 考えるを考える 第16回 “オープンソース”にインセンティブ文化を根付かせる。横溝一将の、あえて“自分で考えない”思考法

編集者・ライターの僕・長谷川リョーが(ある情報を持っている)専門家ではなく深く思考をしている人々に話を伺っていくシリーズ『考えるを考える』。今回は、オープンソースプロジェクトのための報賞金サービス『IssueHunt』を開発・運営する、BoostIO株式会社のCo-founder/CEO・横溝一将氏にお話を伺います。同社は2019年4月、オープンソース開発者を支援するためのプログラム開始を発表し、ソフトバンク、マイクロソフト、LINEをはじめ、多数の国内大手IT企業が参加を表明しています。約1400名がslackに所属するBoostnoteコミュニティの内実から、「金銭インセンティブが存在せず、サステイナブルでない」オープンソースコミュニティの現在地、そして「あえて、自分では“考えない”」オープンソース的思考法にまで迫ります。(構成:小池真幸)

170ヶ国へ拡大。IssueHuntは、「無名だけど、素晴らしい」プロダクトに光を当てる

長谷川 まずは、IssueHuntについて気になる点を質問させてください。“報奨金”というのは、どのくらいの金額感なのでしょう?

横溝 具体的な額はオープンにできないのですが、IssueHuntの貢献だけで生活していけるくらいのお金を稼いでいるユーザーも、ちらほら現れはじめていますね。

長谷川 人気のプロジェクトにユーザーが集中してしまったりはしないのですか?

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横溝 いきなり斬り込んできますね! おっしゃる通り、人気が集中してしまうことはあります。有名な人が使っていたり、どこかでフィーチャーされたWebサービスが伸びていきやすいのと同じ現象ですが、我々はこれを大きな課題だと捉えています。

当たり前ですが、無名の人でもすごく良いモノをつくっているケースはある。だからこそ、IssueHuntでオープンソースプロジェクトとコントリビューターのマッチングを推進し、「人気はないけど、優れている」プロダクトに光を当てていきたいんです。

長谷川 他のサービスで、運営の参考にしているものはありますか? たとえばクラウドファンディングに近いものを感じるのですが。

横溝 オンライン署名サービス『Change.org』ですね。「誰でも声をあげられる場所」というコンセプトからUX設計まで、大いに参考にしています。ただしChange.org以外は、特にベンチマークはいません。

長谷川 他のサービスを真似るというよりは、走りながらどんどん自社サービスの改善サイクルをまわしていくイメージでしょうか。

横溝 はい。毎週月曜の朝10時に、世界各国のメンバーとオンラインでMTGして、改善点を議論しています。

長谷川 グローバルに開発メンバーがいらっしゃるのですね。全部で何人くらいの規模感ですか?

横溝 10人いないくらいですね。主にアメリカ、韓国、フランス、ベトナム、そして日本にメンバーがいます。

長谷川 役割はどのように分担されているのでしょう?

横溝 基本的に全員がアイデアを出してくれるので、きっちりと役割を分担しているわけではないです。強いて言うなら、CTOがプログラムやサービスの設計、開発のディレクションを担ってくれています。

長谷川 横溝さん自身はどういった役割を?

横溝 何でもやっていますが、一番は「仲間を増やすこと」でしょうか。IssueHuntのユーザーはもちろん、株主やスポンサー企業まで、僕がコミュニケーションを取っていますね。

いずれコードをオープンにする時代は必ず訪れる。「熱意」をベースに、“一億総オープンソース化”を推進

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長谷川 LINEやMicrosoftといった著名な企業からのスポンサードを受けられていると伺っています。純粋にすごいなと思ったのですが、どのように実現したのでしょう?

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