宇野常寛責任編集 PLANETS 政治からサブカルチャーまで。未来へのブループリント

Serial

  • 2019.07.05
  • 藤井宏一郎

ロビイストは日本的政治風土を変えうるか? マカイラ株式会社代表・藤井宏一郎が語る「パブリック・アフェアーズ」(PLANETSアーカイブス)

今朝のPLANETSアーカイブスは、元Googleで現在はマカイラ株式会社の代表を務める藤井宏一郎さんのインタビューです。日本では数少ない、政治と企業とをつなぐ「ロビイング」を仕事としている藤井さんは、旧来的な中間団体や談合がはびこる日本の政治風土に、どのような新風を吹き込もうとしているのか。藤井さんが考えるロビイストの役割と理想について、宇野常寛がお話を伺いました。(聞き手:宇野常寛、構成:稲葉ほたて)
※本記事は2016年4月22日に配信した記事の再配信です

パブリック・アフェアーズとは何か

宇野 藤井さんとはじめてお会いしたのは、数年前ですね。当時はGoogleにいらっしゃって、この前のお正月に久しぶりにお会いしたときに、藤井さんのご活動についてお伺いしたのですが、とても面白いと思いました。ただ、同時に説明が非常に難しいなとも思ったんです。けれど藤井さんのようなプレイヤーがいることとその活動を、このメルマガの読者に伝えることはとても価値があることだと思ったので、取材をお願いした次第です。

藤井 そうですね(笑)。でも、ひとまず説明してみましょう。

私は現在、マカイラ株式会社というコンサルティングファームをやっているんです。これが何の会社かというと、「イノベーション・アドボカシー」をやる会社になります。「アドボカシー」というのは広く「政策などの提唱活動」という意味の英語ですが、その意味するところは提言するだけに留まりません。PR活動、イベント開催、ロビー活動……まで広くその政策過程に入り込んで支援していく業務なんですね。

たとえばあくまでも例ですが、今話題になっているシェアリングエコノミーだったら、そのための新たな規制について、新規産業側の視点に立って積極的に提言していくことになります。規制についてであれば、民泊と旅館業法の問題や、ライドシェアだったら道路運送法の問題がある。そういうことに関して、法律事務所さんなどの手を借りたりしながら、「日本の規制はこういうふうになっていて、こういう問題がある」ということを分析するわけです。すると「法律や政策をこういうふうに変えれば、このビジネスは実現できるんじゃないか」ということが提案できるんですね。

で、その上で規制当局――つまり霞ヶ関で実際に法律を所管している役所のお役人の方々にお会いして、「こういうビジネスを日本でやりたいのだが、こういう問題があって、諸外国ではこういう形で法律が改正されてうまくいっている。日本でもなんとかならないか」と話すわけです。もちろん、その一方で永田町にいる先生方にもお会いして、同じようなご説明を差し上げます。

さらに経済団体や産業団体も関わってくるので、そういう方々にもお会いして、味方になってくれそうな人たちに「ぜひ一緒にやりましょう」と言って、巻き込んでいきます。同様の問題で困っているベンチャー企業などにも当たって、「この運動を一緒に巻き起こしましょう」と話します。

宇野 基本的にはロビイング活動の啓蒙とサポートをしているわけですね。

藤井 もちろんそれだけではなくて、ときにはイベントなどを開いて、ユーザーの組織化も積極的に行います。あるいは、経済分析をやるようなコンサルティング会社さんと組んで、具体的な経済効果を算出したりもしますしね。

宇野 政治過程の一連のプロセスに総合的に関わっていく仕事がパブリック・アフェアーズだということですね。

藤井 そうです。

今、我々はテクノロジーのものすごく面白い転換期にいるんですよ。情報通信革命という言葉はこの20年くらい使われ続けていますが、間違いなくこれは新たな産業革命でしょう。ここまで劇的に世の中が変わるのは本当に何百年に一度、下手をすれば千年に一度です。それこそ活版印刷の発明と同じくらいの節目に、我々は立っているわけですよね。

そのときにテクノロジーと世の中の間に立って、政策や社会システムを作り上げる仕事の一端を担えることは、とても幸せで特別なことだと思いますね。

しかも、ここに来てテクノロジーが“ウェブブラウザから飛び出した”わけですよ。単にブラウザの中で完結するSNSなどのサービスと違って、IoTやロボティクス、ドローンやシェアリングエコノミーのような、物理的に機械と機械を繋いで、画面の外で起きる出来事を扱うサービスが盛り上がり始めているんです。

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