宇野常寛・責任編集「PLANETS vol.9 特集:東京2020 オルタナティブ・オリンピック・プロジェクト」 | PLANETS/第二次惑星開発委員会

宇野常寛責任編集 PLANETS 政治からサブカルチャーまで。未来へのブループリント

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評論家・宇野常寛が責任編集を務める雑誌「PLANETS」。2015年1月31日に発売を予定しているその最新号「PLANETS vol.9」(以下、P9)は、2020年に開催が決定した東京オリンピック計画と、それを契機にした東京と日本の未来像について、気鋭の論客たちからなるプロジェクトチームを結成し、徹底的に考えてゆく一大提言特集です!

クラウドファンディングで323人におよぶパトロンから、総額3,331,500円の支援をいただきました。これにより、本体価格を2,000円超から、1,400円まで下げることができました。ご支援いただいた皆さま、本当にありがとうございました。

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「PLANETS vol.9」

表紙

宇野常寛責任編集
発行:第二次惑星開発委員会
2015年1月31日発売
B5変型 本体1,400円+税
272ページ(フルカラー)

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▼「PLANETS vol.9(特集:東京2020)」とは?
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皆さんは、昨年決定した東京オリンピックについて、どんな印象を持っているでしょうか。

特に年長者の人には、日本経済を活性化させるカンフル剤になることを期待する人も多いようです。しかし一方で、若い人の中には「そんなので上手く行くわけないよ」と冷めた感想を漏らす人も決して少なくありません。

実際には、歴史的に見ても、オリンピックは常に国家の大計や経済の活性化に大きな影響を与えてきたものです。実際、昭和の東京オリンピックを境に戦後の日本は大きく変化していきました。それなのに、どうして人々はそんなに冷めているのでしょうか。

それは、人々が2020年のオリンピックを「新しい日本を作り出すキッカケになる」なんて、今やまったく期待していないからではないでしょうか。

どうせ「昭和の日本を取り戻せ」と言わんばかりに、古い日本の体制を温存するべくお金がじゃぶじゃぶ使われるだけなんでしょ――と。きっとこれを読んでいるあなたも、そうではないかと思います。しかし、それは確実に6年後にやってきます。既に水面下では、日本経済、地方と中央の政治、都市開発、娯楽文化……あらゆるものがオリンピックを中心にして歯車が動き始めました。

この状況に、私たちは声を上げたいと思います。

日本が6年後に確実に国際的に置かれている状況や、Twitterやニコニコ動画などのネットサービスを子供の頃から使ってきた”デジタルネイティブ世代”の社会的台頭、そうした社会の変化を踏まえて、全く新しい、本当に私たちが求める「2020年”から”始まる日本の将来ビジョン」を世の中へと発信して、問いかけたいと思います。

★【Webで公開中】「PLANETS vol.9」構想を編集長・宇野常寛が語った記事はこちら
 
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▼『P9』プロジェクトメンバー(順不同)
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宇野常寛(批評・本誌編集長)/猪子寿之(チームラボ代表)/水口哲也(クリエイター・プロデューサー)/井上明人(ゲーム研究者)/門脇耕三(建築家)/南後由和(社会学者)/濱野智史(社会学者)/速水健朗(ライター・編集者)/吉田尚記(ニッポン放送アナウンサー)/中川大地(文筆家・編集者) ほか
 

▼「PLANETS vol.9」はこんな本になります!

 「P9」は「A・B・C・D」の4つのパートに分かれています。各パートでPLANETSの抱える執筆陣が2020年の東京の主要論点を抽出・予測、そこから大胆な提言を行います。

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【巻頭鼎談】オリンピックをハッキングせよ!~ぼくらが望む2020年~猪子寿之×乙武洋匡×宇野常寛

【Aパート:Alternatives編】オルタナティブ・オリンピック/パラリンピック・プロジェクト

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チームラボの猪子寿之氏によるデジタル技術を駆使した開会式および競技中継のイメージ画像(画像は制作中のものです)

まずは、このAパート前半部ではオリンピックの開会式やその競技中継のあり方を提言します。
現在、それらはテレビ中継を前提にしていますが、私たちはチームラボの猪子寿之氏を担当者に迎えて、ソーシャルメディアやバーチャルリアリティ、拡張現実技術などの様々な新しいメディア装置を存分に活かしたオリンピック中継を構想しました。

それは、単に「観戦する」だけではなく、実際に普通の人々が「参加する」仕組みを備えた新たなスポーツ文化の創造でもあります。

そんな人とスポーツとの新たな関係を構想すべく、有森裕子氏や古田敦也氏、岡田武史氏といったスポーツ界のリーダーたちを訪ね、2020年に向けての課題と今後の日本スポーツのあり方を構想する特別インタビューを敢行。

また、最先端のテクノロジーを駆使した「超人オリンピック」計画を主導する稲見昌彦氏や、人間の身体運動を拡大するロボット技術、あるいは犬飼博士氏らゲームデザイナー陣による新たなスポーツ競技創出の試みなど、「拡張スポーツ」の最前線を取材しています。

さらに、インターネット時代の「参加する」オリンピックが切り拓く新たな未来像を展望するために、世界的に評価の高いゲームクリエイター・水口哲也氏、メディアアーティストの落合陽一氏などを迎えて、情報技術の実現する新しい大衆社会のビジョンを語ります。

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人型搭乗ロボットのプロトタイプを実現した動作拡張外骨格スーツ「スケルトニクス」。

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「超人スポーツ委員会」を主導する稲見昌彦教授が提案する拡張スポーツの一種「Telexistence Drone」。ドローンで撮影した映像と視覚を連動させ、『ハリー・ポッター』シリーズで描かれた「クィディッチ」のような競技の実現を目指す。

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新世代のテクノロジーベンチャー・exiii社の制作によるイノベーショナルな筋電義手「handiii」。(写真:小野啓)

後半部ではパラリンピックの特集を組み、乙武洋匡氏や現役アスリートたち、それにゲーム研究者の井上明人氏や先述の稲見氏らを中心に、サイボーグ技術やゲームデザインの知見を結集して、新たなパラリンピックのあり方についても構想しています。近代オリンピックが前提にしている人間観やスポーツの概念そのものを問いなおす試みになっており、思想に興味ある読者にも示唆的なパートになっています。
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女子マラソンのメダリストであり、現在はスペシャルオリンピックス日本で理事長を務める有森裕子さんに、2020年に向けた課題についてお話を伺いました。

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元サッカー日本代表監督・岡田武史さんにもお話を伺ってきました! 「ファンからサポーターへ」、欧米のスポーツ文化の果たしている主体的な市民の形成機能と、日本のそれとの違いとは。スポーツは「市民」をつくれるか。そのために必要なスポーツ興行のあり方とは―― ?

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元プロ野球選手/元東京ヤクルトスワローズ監督の古田敦也さんへのインタビューも掲載! 2020年へ向けてスポーツ文化は社会になにをもたらすか、アマチュアスポーツを中核とした地域コミュニティ再編の可能性、そして野球文化とそのインフラをいかに活用するべきかについて聞きました。

<編集部より>

このAパートでは、新しいテクノロジーが可能にする2020年の私たちの文化がわかりやすく見えてくるはずです。

また、テレビのようなマスメディアにとらわれない、新しいオリンピックのあり方それ自体が、実は未来社会のビジョンにもなっています。20世紀におけるナチスとベルリン・オリンピックの例を出すまでもなく、オリンピックは人々に過剰な熱狂と集団心理を与える国威発揚の装置とであるとして批判を浴びてきました。1984年のロサンゼルス以降は、テレビのコマーシャリズムと結びつき、大衆に一体感をもたらす装置として機能してきました。それに対して、今後ますます台頭していくソーシャルメディアは、人間をもっとゆるやかにバラバラのままつなぐ装置です。

6年後の日本で、オリンピックがどうあるべきか。それを考えることは、21世紀の国家の新しい姿を考えることにほかなりません。

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▲猪子寿之&チームラボPresents 参加型オリンピック計画 ウルトラテクノロジーがつくる未来の祭典
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▲テクノロジーが更新するオリンピックと社会契約 猪子寿之×宇野常寛×落合陽一×水口哲也

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▲パラリンピックの歴史と現状――パラリンピアンはインターフェイスである 麻生鴨

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▲2020年は「超人オリンピック」への通過点にすぎない ——来たるべき〈拡張人間〉たちの饗宴に向けて 稲見昌彦

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▲犬飼博士×中村隆之×簗瀬洋平 ゲームデザイナーが構想する〈拡張スポーツ〉の原理とその夢

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▲稲見昌彦×井上明人×川越敏司×山中俊治 サイボーグオリンピックと新しい人間観

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▲多様な身体を包摂する拡張パラリンピック計画 

▼以下のようなテーマで記事を作成中です!

インタビュー・変貌する障害者スポーツと2020年パラリンピックへの課題 藤田征樹(パラサイクリング選手/ロンドンパラリンピック日本代表) 鈴木徹(義足走り高跳び選手/北京パラリンピック旗手) ほか

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【Bパート:Blueprint編】東京ブループリント
都市開発から考える国土とライフスタイルの未来
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Bパートでは、東京オリンピック開催にともなう、東京の再開発について取り上げます。まず、これは東京だけの問題ではありません。東京が日本の中心地である以上、その変化は地方まで含めた日本全体の変化につながります。そこまで見越したビジョンを提案します。

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現在、東京都は「湾岸新都心の開発」を進める計画です。前回の東京オリンピックの際に開発された住宅街が、戦後のホワイトカラーのライフスタイルを生み出したように、この湾岸地域から日本の新しいライフスタイルが生まれてくるのが大きく予測されます。

このパートでは、そんな大きな再開発の流れを踏まえつつ、上海やシンガポールにおける都市開発事情などをアカデミアの研究者らとともにリサーチして、可能な限り精度の高い未来の東京の姿を描き出します。

また、そこから東京を機能面から五つの地域に分けた「5分割提案」を行い、新しい日本人の生活スタイルや都市計画のあり方を考えます。

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2020年のオリンピック開催にともなう各エリアの再開発計画

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東京都の人口や住宅建設面積などの推移を分析

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東京都知事選の投票傾向から割り出した、「思想で塗り分けられる東京地図」

<編集部より>

このBパートでは、東京の再開発をめぐる分析を徹底的に行うことで、日本全体が今後どうなっていくかのビジョンを、経済や生活の面から提示します。人口動態や住人の生活スタイルについても、豊富に資料を用いて気鋭の社会学者やビジネスパーソンたちが分析しています。

特に法人や官公庁、NPOなどで企画立案を行う人には、実務に使える様々なヒントを得られる実用性の高いパートになるはずです。

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▲東京はなぜ解体されるべきか――情報化以降の首都像を考える

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▲東京5分割計画

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▲多摩県(!)構想

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▲オルタナティブ選手村2020 ——湾岸の〈未来都市〉像を更新する 浅子佳英

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【Cパート:Cultural Festival編】2020年の夏休み
世界を大いに盛り上げるための裏五輪=サブカル文化祭

このCパートでは、PLANETS編集部から「文化祭」の提案を行います。

オリンピック期間は、世界中から多くの人が日本に訪れる時期であり、日本文化を世界に向けて紹介する絶好の機会です。そこで、PLANETSは「裏オリンピック」と題して、日本のサブカルチャーを発信する祭典を考えています。

具体的には、2020年に会場の関係から変則開催されざるを得ないコミックマーケットを中核に据えて、漫画・アニメ・ゲーム・アイドル、それに原宿系ファッションやV系バンドなどの、世界が注目する日本文化を街中に溢れさせます。言わば、街を舞台にした現代日本サブカルチャーの見本市と言えるでしょう。

構想にあたってPLANETSが協力をお願いしたのは、きゃりーぱみゅぱみゅのプロデューサー・増田セバスチャン氏、そして初音ミクの生みの親であるクリプトンの伊藤社長やグッドスマイルカンパニーの安藝社長など、日本文化を支える著名人たち。

実際に実現可能な企画書として提示できればと思っています。

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▲2020年の夏休み 世界を大いに盛り上げるための裏五輪=サブカル文化祭「クールジャパンなんか、いらない!?」

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▲2020年の挑戦――カルチャーメタボリズムとしての”裏オリンピック” 井上伸一郎×伊藤博之×安藝貴範×夏野剛

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▲増田セバスチャン氏インタビュー「2020年『原宿聖地化計画』」

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(C)石森プロ・東映
Cパートに掲載する、裏五輪(2020年サブカルチャー文化祭)開会式の仮想企画「ショッカー五輪破壊作戦」のひとコマ。開会式で満員のスタジアムをショッカーがサプライズ襲撃!そのとき現れたのは…!? ストーリー監修は、なんと、平成仮面ライダーシリーズの脚本家としても有名な、あの井上敏樹先生です。

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同じくCパートにてアイデアを提案する予定の、「アニメ総選挙」というイベント企画の1カットです。アニメ作品の人気投票を行い、アニメの歴史のオールタイム・ベストを決定する…そして、その結果発表の場には、アニメのキャラクターが登場!? 発表会の司会をつとめるのは、もちろんこの方です。

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アイドルグループが観光案内する「アイドル都市・東京」計画(モデル:PIP 写真:小野啓)

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©円谷プロ
ウルトラシリーズの怪獣が東京の街に現れる!? 「怪獣合法地帯」

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▲東京妖怪ウォッチング

<編集部から>

このCパートでは、戦後日本が生み出したサブカルチャーの集大成となるイベントを考えています。一方で、それを通じてポスト戦後の日本における新しいサブカルチャーを生み出すためのステップにしたいとも考えています。

その点で、次のDパートにおける問題意識とも繋がっています。

以下のようなテーマで記事を作成中です!

2020年の挑戦――カルチャーメタボリズムとしての”裏オリンピック” 井上伸一郎×伊藤博之×安藝貴範×夏野剛、東京妖怪ウォッチング――AR技術で街に妖怪を可視化する(協力:水木プロ)、怪獣合法地帯――闇夜に出没するウルトラ怪獣たち(協力:円谷プロ)、アイドル都市・東京――アイドル文化が国際観光都市化を牽引する!(出演:PIP プロデュース:濱野智史 ほか)、開会式襲撃! ショッカー五輪破壊作戦(監修:井上敏樹、協力:東映)ほか

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【Dパート:Destruction編】セキュリティ・シミュレーション「オリンピック破壊計画」

Dパートは「オリンピック破壊(Destruction)計画」です。

……なんだか物騒なタイトルですが、セキュリティ問題について考えるパートです。「東京オリンピックを破壊する作戦」をリサーチすることで、都市やオリンピック計画が抱える課題を洗い出して、セキュリティ意識を喚起するのが目的です。

具体的には、オリンピックを舞台にしたポリティカル・フィクションを構想します。

これについては、文化批評の意図もあります。実は、現代日本においてポリティカル・フィクションは大きく衰退しています。その大きな理由は、戦後日本では政治や軍事の問題を直接に扱うことが忌避されたことにあります。しかし一方で、日本のサブカルチャーでは架空戦記などの形で、現実の世界を舞台にしない戦争作品が、まるでその代わりを果たすように大量に登場したのです。

そこで、そんな架空世界に退避した政治の想像力を再びリアリズムに取り込むために、ジャーナリストの速水健朗とニッポン放送アナウンサーの吉田尚記という、戦後サブカルチャーに詳しい二人のスペシャリストを迎えました。この二人とともに、徹底的にオリンピックのテロ計画を構想して、ポスト戦後の想像力を実現します。

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オリンピックが開催されたときにテロが起きるなら…?という想定のもと、都市のクリティカルポイントを洗い出し、セキュリティ意識の喚起を目的としています。ポリティカル・フィクションに関する熱い議論なども展開される予定なので、そちらもお楽しみに!

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2020年の”経済テロ”を考える「円の価値を大暴落させれば東京オリンピックは自壊」田中秀臣


<編集部の狙い>

このパートが最も楽しめるのは、もしかしたらカルチャー批評に興味のある古参のPLANETS読者かもしれません。前号「PLANETS Vol.8」では、ほとんどサブカルチャーを扱いませんでした。しかし、編集長の宇野は「戦後サブカルチャーの想像力を先に推し進めるためにこそ、まず一度テクノロジーや社会の変化に向き合う必要があった」と語ります。

「戦後ではもはやない」現在、現実に根ざしたポリティカル・フィクションを構想することは、果たして可能か。PLANETSが現在見据えている、戦後というオタク文化を育んだ社会の「次」から生まれてくる新しい物語とは何か。次世代のフィクションのあり方を考えるパートです。

以下のようなテーマで記事を作成中です!

オリンピックとテロリズムをめぐって、東京2020のセキュリティ・ホール(建築・ランドマーク、インフラ、経済・金融、軍事・国際環境) オリンピック破壊事件を検証する 宇野常寛×速水健朗×吉田尚記×中川大地 ほか

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▼「2020年の五輪と東京」を考えたその他のインタビュー記事はこちらから。
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